パフュームのチョコレイト・ディスコを聴いたりして、
わけもなくテンションをあげたくなるこの時期。
あれはたしか小学3、4年生くらいの頃だったと思う。
同じクラスに好きな男の子ができた。スラっと背が高くて
スキー部のその子は冬になるとゴーグル焼けをしていた。
ちょっとクールで、どちらかと言うと近寄りがたいタイプ。
席替えで奇跡的に隣になれたときはうれしくて、毎朝今日は
この話題を話そうと考えながら登校していた。
仲良くなれたわけじゃないけど、ぎこちないながらぽつぽつ
話した。
バレンタインが近づき、勇気を出してチョコレートを渡そうと
決めた。それまでもクラスの男子に義理チョコを渡したような
気はするが、本命は初めてである。
我ながらがんばったなと思う。
できるだけこっそり渡せないものか…歳の離れた姉に相談したところ、
英語で名前を書けばいい!ナイスアイディア。
当時、英語を読める小学生はほとんどいなかったはずだ。
近所の商店でチョコレートを買い、かわいくラッピングされた
小さな箱の裏にアルファベットで自分の名前だけ書いて当日の
朝早くその子のゲタ箱に入れた。
バレンタインの日は女子も男子もなんだかそわそわしている。
なんなら学校全体がそわそわした雰囲気だ。
教室でひとりドキドキする私。
大丈夫、きっとチョコを発見しても誰からかわからないだろう。
ついに友達たちと連れ立ってその子が教室に入ってきた。
手にチョコを持っている!
そして、裏に書かれた名前をはっきりと読み上げる友達。
きみ英語、読めたんか。
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昨日、またひとつ歳を重ねた。
45歳になりました。 自分が一番びっくりしている。
よく「気持ちは20代なんだけどね〜」という人がいるけどまさに
それで、実年齢に中身の成長が追いついていない気がする。
10代の頃、私の寿命は20歳くらいまでなんじゃないかと
漠然と思っていた。なんとなく。
それを考えると、よく中年といわれる年齢までこれたじゃん!
と自分を労ってあげたくなるのだ。
生きてるとそれなりに日々いろいろあるけど、がんばってるよねと。
もちろん家族や友人、周りの人たちのおかげでここまでこれた。
あの時は助けてもらったなぁと感謝することばかり。
誕生日の日はなるべく働かないことにしている。
理想としては旅に行ったり、韓国アカスリでごしごししてもらい
たいところだけど、今年はむずかしそうだ。
何の予定もなくても、労働だけはしたくないというつよい意志。
去年はうっかり働いてしまったので、今年は休むと決めていた。
雨降りの月曜日。
美容室の予約だけ入れていたから駅前までゆっくり歩く。
ベリーダンスを始めた友人に感化されて、ヒップホップを習いたい
とぼそっと言ったら美容師さんのツボにはまったらしく大爆笑された。
いや!何かを始めるのに年齢は関係ない、たぶん。
運動は何もできないタイプだが、踊ることはできるかもよ?
とりあえず、家でyoutubeをみることからはじめようか。
もしかしたらこの先、海外に住むことだってあるかもしれないし、
金髪にするかもしれないし、想像もしなかった職業についている
かもしれない。占いによると大器晩成らしいから自分の可能性をあまり
低く設定しないで、いつでも動けるように自由に暮らしていきたいな。
ヘアカットしてもらったあと、近所のパン屋さんでサンドイッチや
かぼちゃプリンを買い込んで帰宅。よし、もう今日は何もしないぞ〜!
紹介してもらった音楽を聴いたり、雑誌を読んだり。
静かで穏やかないい日だな、瞑想でもして自分をみつめなおそうか
と、座ったがそのまま大の字になりゴロゴロして一日が終わった。
( 写真は気持ちのいい秋晴れの日に。)
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小学生の頃、近所にセブンイレブンができた。
近所と言っても、田舎なので車で行くような距離だ。
ローカルなコンビニみたいなお店は何軒かあったが、全国的な
チェーン店は初めてだった。
オープンしたてのピカピカのセブンイレブンに父と行った。
「お母さんには内緒だぞ」「うん!」
コンビニやファーストフードにあまりいい印象をもっていない母に
知られたら、小言をいわれるに違いない。
他の商品に目もくれず、ツナサラダを手に取りレジに持っていく。
甘いデザートや、菓子パンを買ってもらえばよかったのにと今に
なって思うけれど、小学生の私はなぜかツナサラダの虜だった。
千切りキャベツやコーンの上にツナがのっていて、何よりドレッシング
が衝撃的においしかった。車の中で夢中で食べた。
そして、何事もなかったかのように父と家に帰った。
秘密のセブンイレブン通いは、そのあとも何度か行われた。
高校生の時、通学路にあったセブンイレブンの店員さんに恋をした。
ミスチルの桜井さんを少しお餅っぽくした感じのお兄さん。
今日は会えるかな?とドキドキしながら通ったっけ。
旅先でセブンイレブンを見つけると、知らない場所での心細さが
和らいだ。いつものお気に入りを買うと、よし!もう大丈夫という
気持ちになれた。
物件を探すときは、最寄り駅の近くにセブンイレブンがあるか?
も重要なポイントのひとつになる。
今でも、ほぼ毎日行っている。
各フェアがあればチェックして、ほぅ…なかなか攻めた商品だな
と感心したり、SNSで人々の反応をみたりもする。(暇か)
好きゆえに、新作のデザートを試すときは辛口の審査員よろしく、
おいしいけどこの部分はもっと工夫した方がいいなどと、余計な
お世話でしかない感想をひとりで言っている。
長く通っているけど、今まで購入した商品はほぼ自分好みの味だ。
助かります、ありがとうございます。
小学生の時に出会ってから一筋。そう、一途なタイプである。
セブンイレブンは、私を裏切らない。
つよい味方、セブンイレブンさえあればこの先もなんとかなる!
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毎日暑いですねぇ。
人に会うと、暑いですね〜、ほんとですねという会話をくり返す。
20代のころは夏が1番好きな季節で、梅雨明けするとうれしくて
元気にあちこち撮影に出かけていたのに、最近はクーラーの効いた
室内にいる方がいいと思うようになった。
大人になったのもあるし、昔より夏の気温が上がったのもある。
このまま気温が上昇し続けたら、地球はどうなるんだろう?
いまは、春か秋の気候が自分にはちょうどいい。
今年、ついに日傘を買った。
今までは(晴れてるのになんで傘をささなくっちゃいけないの、
手がふさがって不便…)とまったく魅力を感じていなかった。
しかし、7月に入って朝からじりじりと照りつける日差しにお手上げ。
初めて日傘をさした時の感動は忘れられない。こんなに違うんだ!
晴れた日はなるべく日陰を探して歩いていたけど、これからは
日陰を持ち運べるなんて最高。もう手放せない。
突然、レモンスカッシュにハマった。
何かにハマるのはいつも突然だ。もともとレモンが好きだった。
こう毎日暑いと、シュワッとした爽やかなものが飲みたくなる。
スーパーやコンビニでいろんなメーカーのレモンスカッシュを買って
きて、味を比べたり、レモン果汁を足してみたりして、どうしたら
もっとおいしくなるか研究している。
この調子だと今年の夏も旅行にもフェスにも行かず、インドアな日々を
満喫することになりそうだ。
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ずっと行ってみたいお店があった。
地元の人に親しまれている老舗の喫茶店だ。
いつか行ってみたいなと思いつつ、でもまぁいつでも行ける
よねと、そのまま何年も経っていた。
よく晴れた5月のある日。
近くまで行く用事があって、あの喫茶店に入ってみようか、
それとも新しくできたカフェにしようかと調べていると
憧れの喫茶店はあと数日で閉店すると書いてあった。
これはどうしても今日行かないといけなくなった!
急いでお店に向かうと、入店待ちですでに数人が並んでいた。
「こんなに並ぶなんて…」と前にいた常連さんが驚いている。
30分くらい待っただろうか、扉が開いて中に案内された。
店内は満席でカウンターのはしっこに座る。
忙しすぎて、マスターと店員さん4人がてんてこ舞いだ。
本当ならお店の内装や雰囲気をじっくり堪能したかったが、
それどころじゃない。なんなら、手伝いたいくらい。
身動きせず、飲み物がくるのをじーっと待つ。
カウンターの向こうでマスターがコーヒーを淹れている。
昔から通ってる常連さんもいるだろうし、私のように閉店する前に
一度行ってみたかったという人たちもいるだろう。
新旧のお客さんが最後だからと、こぢんまりしたお店に押し寄せていた。
普段だったら、もっとゆったりとした時間が流れていたんだろうな。
ミーハーな気持ちで来てしまった自分がなんだか申し訳なくなり、
さっと飲んでお店を後にした。
5月上旬、長い間会っていなかったけどいつかまた会えると
信じていた人が遠くに旅立ったとの知らせが届いた。
もう一度会いに行けばよかったと、後悔とかなしさで泣いた。
永遠はないとわかっているはずなのに、当たり前にずっとそこに
いてくれると思い込んでいた。
いつかって、なんて曖昧な言葉なんだろう。
いつか会いたい人や、いつか行ってみたい場所はたくさんある。
そのすべてを叶えるのは難しいかもしれないけど、できるだけ
後悔は少ない方がいい。
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何年か前に、箭内道彦さんのトークイベントに行った時のこと。
箭内さんと言えばタワーレコードの「NO MUSIC NO LIFE」など
を手がけるクリエイティブディレクターだ。
写真家の平間至さんが撮影していたミュージシャンのポスターが
かっこよくて、毎回楽しみにタワレコに通っていた。
それをきっかけに箭内さんを知った。
外見は金髪で、派手な服。独立して設立した会社名は「風とロック」
パッと見、とんがった人なのか?と思った。
しかしインタビューやいろいろな記事を読んでみると、常にやさしさが
ベースにあって、イチゴが大好きで、そして笑った顔がかわいすぎる。
もちろん生み出す広告、フリーペーパーはロックでかっこいい。
一気にファンになってしまった。
この「871569」は箭内さんのこれまでの名言を集めた本。
短い言葉にハッとしたり、新たな視点をもらえる。
発売されてトーク&サイン会があると知り、すぐに申し込んだ。
トークショーは前のめりになり、メモをとりながら聞いた。
(だいたいトークショーに行くとこの学生スタイルの拝聴になる)
その後、サイン会だったのでドキドキしながら列に並んだ。
事前にサインに書いてほしい名前を記入する紙が配られて、
ひらがなで名前を書いて順番を待った。
私の番がきて、その紙を箭内さんに差し出すと「どういう漢字なの?」
と聞かれ、「あっ、えっと豊臣秀吉の秀で…」もごもご説明していたら
「あぁ、秀才の秀だね!」ときっぱり言ってもらい恥ずかしくもあり、
とってもうれしかった。そうか、秀才の秀でもあるんだ。
おじいちゃんがつけてくれたらしい自分の名前、昔ながらで古めかし
い感じがして、子供の頃はコンプレックスだった。
でもそのひと言で、少し誇らしく思えるようになった。
そして金色のペンで、叫んでいるような風みたいなサインを書いてもらった。
写真も撮ってもらえるとのことで、いそいそとカバンからコニカの
ビックミニを取り出すと「ビックミニ!それはいいカメラだよ〜」
と褒めてもらい、調子にのってカメラ談義をはじめそうになった。
一緒に撮ってもらった念願のツーショットでは、緊張のあまり
手に持った本の裏面をカメラに向けていて誰か教えてほしかった。
箭内さんは人を褒めるのが上手だ。
有名なクリエイターだから、褒められる場面の方が多いだろうに。
初対面で、少し言葉を交わしただけでこんなにも相手を喜ばせることが
できるなんてすごいなぁ。
私も人のいいところを見つけたら言葉にして伝えていこう。
他にも、本に書かれている名言で今も実行してることがいくつかある。
このサインを見ると元気が出る。わたしの大切なお守りだ。
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1月某日
よいお天気。神社へ初詣に行くことにした。
去年の御守りをお返しして、新しい御守りを購入。
迷わず「健康」の御守りにする。今はとにかく健康第一だ。
大人になるにつれ、呪文のように唱えるようになった。
おそるおそるおみくじを引いたら、大吉がでてにんまり。
弱気な2023年のはじまりだったけど、よかった!
なんだかいい予感がするよ〜って歌があったっけ。
老舗のお菓子屋さんに入ったら、店員のお姉さんが次々と説明
をしてくれた。「あ、ついでだからこれも説明しちゃおうかしらっ」
とおちゃめなお姉さん。自分のお店の商品が本当に好きなのが
伝わってきて、かわいらしい。おかげで楽しく買い物ができた。
ただ黙って買い物するよりも、少し会話をしたことで今日の日が
あたたかな想い出として残る。
接客が上手ってこーゆうことを言うんだろうなと思う。
おいしいお菓子とパンも買って、軽い足取りでうきうき帰宅。
1月某日
茨木のり子さんの「ハングルへの旅」のつづきを読む。
文中に学ぶ喜びがあふれていて、こちらも笑ったり泣いたり。
読み終わるのがもったいなくて、ちびちび読んでいる。
これまでほとんど接する機会がなかったハングルも、推しの
ゆったりとした話し方もあって、こんなにやさしい響き
の言葉だったのかと新しい発見だった。
話していることをなんとか理解したいと聞こえてきた単語を
カタカナでメモしたりして自己流でやってみたものの、
いっこうに上達する気配はない。
韓国の文字は難しそうで、読むのは最初からあきらめていた。
ある日、何気なく韓国のことを調べていたら10月9日が
ハングルの日とあった。祝日だそうだ。
朝鮮語の表音文字であるハングルの元となった訓民正音の
公布された日。(Wikipediaより)
その日は私の誕生日…これは運命だ!うん、そうに違いない!
単純である。しかし、俄然やる気がでた。
初めて教材を買い、見よう見まねでノートに書き写してまじめに
取り組みはじめた。
新しい言語を覚えるのは脳にもよさそうだし、気長に勉強していたら
いつかわかるようになるかもしれない。
マイペースに続けてみようっと。
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11月のはじめに金沢に行ってきた。
アメリカに住んでいる姉が帰国して、家族で日帰りの旅。
全員で集まるのは2019年の秋以来だから、3年ぶりだ。
感動の再会。泣いちゃうかも。
きびしい時期だったけど、みんなそれぞれの場所で耐えてよく
がんばったよねぇ…こうしてまた会えることになって本当に
よかった…と行く前から感慨深い私。
しかし、実際の再会は「よっ!久しぶり〜」なんてあっさりした
ものだった。ハグをする習慣もないし、誰も泣いていない。
金沢のおいしいお寿司を目の前にしてみな無言でつぎつぎと頬張り、
お腹がいっぱいになったあとは、兄の車で海岸までドライブだ。
海なし県民が海に行くと、テンションあがりっぱなしになるのは
仕方がない。この日はお天気がよくてどこまでも青かった。
誰よりもはしゃぐ父、おもむろに貝殻を拾いはじめる母。
突然、浜辺を走りはじめる父と姉。
何でもないことがいちいちおもしろくて、写真を撮っていたら
そのうちに胸がいっぱいになってきた。
車のボンネットになんとか水平になるようにカメラを置いて
セルフタイマーで海をバックに家族写真を何枚か撮影した。
ほんの数時間の金沢の旅、とっても楽しかった。
深い話しなんて一切せずに、ひたすら海を眺めたり紅葉を
見たりしていた。ドラマチックな出来事はとくになかったけれど
案外、こうゆう時間を後になって思い出すのかもしれない。
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BTSオタク、ある日の日記。
夕方6時。仕事が終わって携帯をひらくとBTSの事務所から
お知らせがきていた。
タイトルに兵役という文字がちらっと見えて、おもわず震えた。
内容は確認できないまま涙をこらえて雨の降る中、家まで全力で
自転車を走らせる。途中で目に入ってきたオレンジ色に光る街灯
の時計が6:13でさらに泣きたくなった。
ファンになった時から覚悟はしていたけど、とうとう現実に
なってしまった。さみしい、かなしい気持ちがまずあって、
それだけじゃない複雑ないくつもの感情がおし寄せてくる。
ラブマイセルフや、お互いの違いを認めよう尊重しようと
メッセージを伝えてくれた彼らが入隊するということ。
私は歴史や政治について知らなすぎるから、軽い気持ちで言葉に
はできない。今からでも少しずつ学ぼう。
ラブマイセルフときくとなんだか気恥ずかしいような、大げさな
感じがして自分には遠いことのように感じていた。
でも、BTSを好きになって1日のなかでにやにやしている時間が
確実に増えた。なんでこんなにおもしろいの!
休日に音楽をきいたり、動画だけみて過ごすこともよくある。
昔の私だったら、あぁ、今日は生産的なことが何もできなかったと
自己嫌悪になるだろう。今までは毎日小さくても何かしら意味のある
ことをしなければいけないと思い込んでいたから。
ステイホーム中も何かしなければと気持ちは焦ってもできることが
なくて、…推しの動画でもみるかとパソコンを立ち上げうす暗い画面
に映った自分の顔がすでににやにやしていて吹き出してしまった。
意味がなくたって、こんなにうれしそうな自分がいるだけでいいじゃん!
と思えた。人生は、にやにやしてる時間が多い方がいい。
それに気づけたことがBTSと出会ってもらった幸せのひとつだ。
彼らの活動をみて、笑ったり泣いたりして心が蒸したてのあんまんみたい
にほかほかになる。
初めて韓国版のVOGUEを買ってみたら、お目当ての特集のほかに韓服の
ファッションページの写真がめちゃめちゃ良くて感動した。
文字が読めなくてもビジュアルで楽しめる。
辛ラーメンは私には辛すぎて、食べるとしばらく味覚がなくなる。
こうやって他の国の文化を知ることが、とてもおもしろい。
7人での活動再開予定の2025年を楽しみにゆるゆるとハングルの
勉強も続けていこう。だって、Yet to come なのだ。
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雑誌で海外のファッションスナップをみるのが好きだ。
洋服や身に着けてるものにその国らしさがでている気がするから。
とくに、ロンドンやパリの女性たちは流行よりも自分に似合う
服をわかっていてブランド、古着を問わず自由にオシャレを
楽しんでいるようで、いつか行ってみたいと憧れる。
それまで、日本の音楽を中心に聴いていた私が初めて夢中になった
海外アーティストがイギリスの「THE LIBERTINES」だった。
当時、月1回のペースで遊びに行っていた高円寺の音楽イベントで
「UP THE BRACKET」という曲がかかって、あまりのかっこよさに
衝撃をうけて、DJに曲名を教えてもらいすぐにCDを買いに行った。
(人生には、たびたびこうゆうステキな衝撃がある。)
アルバムを聴いてみるとスローな曲もあり、12曲どれもかっこいい。
ボーカルのピーターとカールが交互に歌う、一触即発のかけ合い。
CDだけど、不思議と自分がライブに行ってるような感覚になる。
ロックンロールの衝動が、そのまま録音されてるみたいだ。
日本から遠く離れたイギリスにこんなにかっこいい同世代の
バンドがいるなんて!カルチャーショックだった。
ちょっと不良で…いやハチャメチャで危うくて、でも着ている服や
スタイルはオシャレで、4人で鳴らす音楽は最高にかっこいい。
2003年の春、ジャパンツアーが開催されることになり、
無事チケットを手に入れた私たちは会場の新宿に向かった。
歌舞伎町を通り抜けて、ライブハウスのあるビルに到着すると
入口に人だかりができていた。
何事かと様子をうかがうと、メンバーのピーターとカールがいて
ファンに囲まれ、くわえタバコでサインをしている!
ピーターが着ている茶色の革ジャンには、ファンが書いたと思われる
たくさんの日本語のメッセージ。
私たちもすき間から懸命に手を伸ばし、携帯電話にサインをしてもらった。
あぁ!なんで英語が喋れないんだろう!こんなに好きなバンドが目の前に
いるのに何も伝えられなくてもどかしい…。
どうにか声になった言葉は「Thank you!」だけだった。
ライブは、いつも開演する前の待っている時間が1番ワクワクする。
会場に流れるSEを聴きつつ、最初の曲はなんだろう?と予想し合ったり、
来てるファンはどんな人たちなのか興味津々でまわりを見渡す。
ギュウギュウになったフロアは、みんなの期待でいっぱいだった。
SEが終わって照明が切り替わり、THE LIBERTINESがステージに現れると
一気にテンションがあがる。
来日を待ちわびたバンドの演奏で踊り、叫び、ミュージシャンと観客が
ひとつのかたまりになった熱狂の空間。
その当時、ビルの7階にあったライブハウスは床が抜けてしまうんじゃないか
というくらいの振動だった。たぶん1時間くらいの演奏だったと思う。
全力疾走で駆け抜けたような、あっという間の時間だった。
ガラケーにしてもらったピーターのサイン、上から透明シールを貼ったりして
なんとか保存しようとがんばっていたものの、使っているうちにだんだんと
薄くなっていつの間にか消えてしまった。
あれから19年経った今でも、音楽を聴けば当時の気持ちが蘇ってくる。
変わらず、THE LIBERTINESは私の青春のバンドのひとつだ。
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暑い、暑すぎる…。
年々温暖化がすすんで、どんどん暑くなってもう人間が日中に
活動できる気温じゃないと思う。テレビでも日中は外出を控える
ように言ってる。元気に野外フェスに参加している人たちもいて
うらやましいけど、私は今年の夏も快適に家フェスだ!
冷房の効いた部屋でライブが見れるなんて、いい時代だなぁ。
フジロックの配信をいくつかありがたく視聴させていただく。
翌日、SNSでフェスの感想いろいろをチェックしていると
あるアーティストの気になる情報が目にとまった。
"初めての来日で人生が変わるほどの体験をした。そのひとつが
セブンイレブンの南高梅おにぎり。"
"8ミリで日本旅行記を撮っているらしい"
この2つのエピソードだけで心を鷲づかみにされてしまった。
なんてかわいらしいんだろう、もう好きです。
興味がわいてどんな人、どんな音楽なのか調べてみようとYouTubeで
「Arlo Parks」と検索して、最初にあがってきた動画をみる。
お、女性シンガーだ。室内でリラックスした雰囲気で演奏している
ギターとベースとドラムのシンプルな前奏がすでに心地いい…さて声は?
ドキドキしながら前のめりになって画面に集中する。
リズムをとっていた彼女が静かに「paperbacks」という曲を歌いはじめた。
うわぁ〜!想像していた声と全然ちがう、やさしいソプラノヴォイス。
すごくいい!好きな声!と興奮してるうちに、涙があふれてきた。
心が震えるような音楽と出会えたことが、うれしくてたまらない。
私は昔から女性ヴォーカルに関しては、ストライクゾーンがかなり狭い。
パワフルに歌いあげる系よりやさしい声質がタイプで、好きなアーティストは
一貫してLily Allen、Corinne Bailey Rae 、イ・ラン、原田知世、手嶌葵
この5人だけだった。(もちろん曲も名曲ぞろいです、聴いてみてください)
Arlo Parksが新たに加わって6人になった!
洋楽は詳しくないから、このおにぎりのエピソードがなかったら、
きっと彼女のことを知らないままだった。偶然に感謝…。
どうやら、初めて訪れた日本を気に入ってくれたようでうれしいな。
ずっと音楽は現場主義だった。CDもいいけどライブに行かないと!
ご時世もあり、去年からオンラインコンサートを見はじめた。パソコンの画面上でも、
充分に音楽の良さや熱気が伝わってきて感動するんだな〜とわかったと同時に、
本当に好きなアーティストは生で聴きたいと強く思うようになった。
次回、来日してくれる時はコンサートに行って、その声と音を体感したい。
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グアムに行ったのは、今からもう17年前のことになる。
おどろくほどに記憶があいまいで、断片的にしか覚えていない。
(これはあまり参考にならない旅行記です、あしからず。)
写真専門学校の友人と、初めての海外旅行。
フリープランのツアーに申し込み、現地に到着したのは夜だった。
フロントで笑顔で迎えてくれたホテルマンに日本語は通じない。
「グアムは、たいていどこでも日本語が通じるから大丈夫だよ!」
と行ったことがある人から聞いていたのに、さっそく話がちがう。
チェックインは旅行会社の人にしてもらったけど、念のためにと
持ってきたトラベル英会話帳がまさかの出番になりそうだ。
2人ともほとんど英語が話せない…、軽い気持ちで来てしまった。
心ぼそい旅のはじまり。疲れたし、とにかく今日はもう寝よう。
翌日、私たちは張りきってビーチに泳ぎに行った。
パステルカラーの海に入ると、あれ?想像していたカラフルな魚がいない
かわりに、ぎゃっ、ナマコがたくさんいる!
結局、水中カメラにはちょっとかすんだ水色の海とナマコ、自分たちの
おもしろ写真しか写っていなかった。
(たぶん、浅瀬だったからだと思う)
グアム伝統のチャモロ料理もたしかホテルで食べた気がするが、なぜか
その時の写真が1枚もないから夢だったのかもしれない。
中心地にある韓国料理店が気に入って、2日間続けて通った。
チヂミやキムチを注文して、あぁアジアって落ち着く〜とビールを飲んだ。
近所の居酒屋にいるみたいな安心感。
楽しいけれど慣れないアメリカの雰囲気に、ちょっと緊張していたんだろう。
小さな動物園にも行った。ビーチのすぐ横にあって牛、うさぎ、ヤギ、
かめ、鳥たちがいて飼育員さんがエサをあげている。
のんびりという言葉が、こんなにぴったりくる場所があるなんて。
花が咲き、バナナや植物がうっそうと生い茂る隙間からときどき木漏れ日が
さして、天国のようだった。
陽気な南国にテンションはあがり、見るものすべてが新鮮でグアムに滞在中、
私たちはそれぞれ愛用のカメラで写真を撮りまくった。
いつだって旅はハプニングあり、笑いありで、エピソードはつきない。
ちなみに、この友人とは珍道中2人旅・沖縄編も繰り広げている。
その旅の話しも、またいつか。
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3月某日
佐渡に住む友人が、今年もしんこまんじゅうを送ってくれた。
昔ながらの木型で作ったきれいな花や鶴といっしょに、BTSの
キャラクターBT21の形にしたものをいくつか入れてくれていて
大喜び。昔から好きなアーティストでも音源やコンサートにしか
出費しないタイプのオタクなので、これが初めてわが家にやってきた
推しのグッズ(?)になった。
ひと通り写真を撮ってから、大切に冷凍庫にしまう。
3月某日
電車で向かいに座っていた人が手袋を忘れて降りようとしている。
「忘れてますよ」と声をかけたけど、イヤホンで聞こえていない様子。
仕事帰りの自分に立ち上がって追いかける余力はない。
あぁ、行ってしまう…と思っていると隣にいた女の子がすごい瞬発力で
手袋をつかみアスリートなみの速さで、すでにホームに降りてしまった
その人に渡してくれた。
戻ってきた女の子に「ありがとうございます」と言うとむこうもなぜか
「ありがとうございますっ」と返してくれて、やさしい世界〜となる。
4月某日
うららかな日。気分よく歩いていたらダンプカーの助手席に乗った白い
チワワに吠えられる。(私はよく犬に吠えられるのだ)
マックに行くと、ドライブスルーのお客さんの接客でとても忙しそう。
何かの試合中みたいなチームワークで、くるくる働く店員さんたち。
こちらはとくに急いでいないから、がんばっての気持ちでじーっと待つ。
てりたまにも惹かれつつ、桜もちパイだけ買う。おいしかった!
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何年か前に、中華料理店で見つけて撮った写真。
ささやかかもしれないけれど、祈りつづける。
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よく晴れたある日、私は下北沢にいた。
10〜20代の頃ライブを見るためによく通った、わが青春の町と言える。
用事があって来ることはあったものの、ゆっくり散歩するのはすごく
久しぶりだ。大規模な再開発でどうなったかパトロールしないと!
駅の通路や周辺はすっかり新しくなり、構内には案内ロボットがいる。
自分が一体どこの改札あたりにいるのかわからないけど、ロボットに
話しかける勇気はない。
あんた変わっちまったね…着いたばかりなのに空を見上げてしんみり。
仲のよかった友達が急にあか抜けたみたいな、とまどいを感じる。
昭和好きとしては、駅前にあった食品市場がなくなってしまったのが寂しい。
カラフルな雑貨そのものみたいなキャッチーな表通りと違い、ほそい路地に
一歩足を踏み入れるとひんやりとしてほの暗く、見てはいけない秘密の場所
のようで、まさに戦後の闇市という雰囲気を残していた。
食品以外にもなぞのTシャツやミリタリーな服も売っていて、パンク風の
コワモテ店員のお兄さんと目を合わせないように細心の注意をはらって歩く。
どこかのお店から、インドっぽいお香の匂いが漂ってくる。
写真学校で「町の人のポートレイトを撮る」という課題がでたときは裸電球の
灯りのしたで八百屋さんのおばあちゃんや、お菓子屋さんのおじさんを撮影
させてもらったこともあったっけ。市場のどこかしらに、いつも猫がいた。
記憶をたよりに歩き、ここにあったはずのお店がないと唖然とするばかり。
それもそのはず、私の頭の中の下北沢マップは20年くらい前で止まったままで、
完全に浦島太郎状態である。それでも昔からあるおせんべい屋さんや、カフェを
発見するたびに(まだあったー!)とうれしくなる。
いつか行ってみたいと憧れていたお店はとっくに閉店していた。
東京はすごいスピードで変化していく。もうあの頃の町並みは自分の中にしかない。
センチメンタルな気持ちと同時に、新しくできた居心地のいいお店にわくわくもする。
久しぶりに訪れた下北沢はおしゃれなコーヒーショップや書店、カレー屋さんが
増えてますますパワーアップしていた。
通ったライブハウス、老舗の古着屋さん、劇場などはそのままの姿でいまもあった。
ここでバンドの出待ちをしたとか、このライブハウスで働いていた男の子が好き
だったとか甘酸っぱい記憶がよみがえる。
楽しそうに歩く若者たちと自分の思い出が重なって、なんだかまぶしかった。
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いくつか写真関係の仕事をしたうちのひとつに、まちの写真館での
アルバイトがある。その当時はフィルムカメラで撮影していたので、
スタジオアシスタントだった私の主な仕事は中判カメラ用にフィルムを
詰めたり、ライトを動かして調整したり、着物がきれいに写るように
整えたりすることだった。
七五三や成人式、お見合い写真やプロフィール用の写真などスタジオでは
毎日さまざまな撮影が行われていた。
ウエディングドレス姿の花嫁さんにうっとり見惚れたり、成人式を迎えた
若者たちの初々しく、輝きに満ちたまなざしの美しさにハッとした。
七五三で慣れない着物をきた小さな子供たちがまっすぐ立てずに、千歳飴を
持ってゆらゆらと揺れている様子は、最高にかわいい。
ぐずって泣いている子供がいれば、カメラマンはスタジオに常備されている
ぬいぐるみをわしっとつかみ、全身全霊で笑わせようとする。
きっと何度も見返されるであろう記念写真。すべてはいい表情を引き出すため。
そのプロ根性をみるたびに、わが上司ほんとすごいな…と尊敬する。
なかでも、私がとくに好きだったのは家族写真だ。
みんなでおめかしして多い時にはおじいちゃん、おばあちゃんなど三世代
でわいわいとご来店されることもあった。
バランスが良くなるように並びを決めて、カメラマンがポーズをつける。
さぁ、奥さまの肩に手を置いてとか、もっと寄り添ってとか、腕を組んでとか
つぎつぎに出される指示に「恥ずかしい〜」「こんな姿勢したことない!」
と大盛り上がりなのだ。見ているこちらまで楽しくなってニコニコになる。
いろんな人たちの人生の大切な節目に立ち合わせてもらい、幸せや感動を
おすそ分けしてもらっているような仕事だな。
そんなふうに賑やかに撮影された写真は、ポーズもライティングもピシッと
決まっていて毎回すばらしい仕上がりなのだった。
ケータイ電話についているカメラの画質もよくなって手軽にキレイな写真が撮れる
この時代。わざわざ写真館に行くのはちょっと手間だし、緊張もするだろうけど、
たまにはこんなイベントがあってもいいんじゃないか。
撮影しているときはもちろん、家で準備をしている時間も、行き帰りの道も
交わした会話も含めて、まるっと思い出の一部になるのだと思う。
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音楽とは不思議なものですこし聴いただけで、その当時のことが
鮮やかによみがえってきて、一瞬でタイムスリップする。
カメラマンのアシスタントをさせてもらっていたとき、師匠の運転
する白いレトロな車のなかでは、よくジャックジョンソンのアルバム
「In Between Dreams」がかかっていた。
いちおう、なに聴く?となるけど、結局このアルバムになることが多かった。
2人ともジャックジョンソンが好きだったし、何よりまったく飽きない。
「飽きないねぇ」「飽きないですね〜」とうなずき合い、いつもの
音楽を聴きながらその日の撮影現場へと向かった。
車内からみた景色、失敗してへこんだことや、笑っちゃうような出来事。
今でも、このアルバムを聴くとアシスタント時代のことを思い出す。
人生のなかで1番聴いている音楽は?と聞かれたら、まちがいなく
星野源のファーストアルバム「ばかのうた」だ。
2010年に発売され、何がきっかけで買ったのかは忘れてしまったけど、
つねに愛用のウォークマンに入っている。
仕事でくたくたに疲れた帰り道、イヤフォンをして再生スイッチを押す。
1曲目の「ばらばら」のイントロがはじまった瞬間、湯船につかった
みたいな気分になり(っはぁ〜〜)という心の声がでる。
なぜかわからないが私にとって、癒し効果がすごいのだ。
いろんなタイプの曲があるから、早歩きするときは軽快な曲を聴く。
アルバム全体がひとつの物語のようで映画をみている感じもするし、
淡々とした中にも温かさや、切なさがあって日常に寄り添ってくれる。
飽きないなぁと、今日も思う。
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今朝、いつもより早く目がさめてふとベランダの外を見たら大きな
虹が出ていて、思わずボラへ…と心の中で呟いた。
そう、BTSにハマっている。(いきなり本題)
先日、メンバーがローラースケートをしている動画がアップされて
ローラースケートといえば光GENJIだな!とつい検索してしまった。
光GENJIは、これまでの人生で唯一好きだったアイドルだ。
小学生だった私は夢中になり(主にかーくん)、食い入るように出演している
歌番組を見たり、お願いして買ってもらった憧れのローラースケートは、
家の玄関をよろよろと往復しただけで、すぐに棚の奥にしまわれた。
スーパーで買ってもらったヒット曲の入ったカセットテープはドライブ中
の車内でかけて一緒に歌った。ところが、よく聴くと歌っているのはなぜか
本人たちじゃなくてがっかりした思い出がある。
いまだに、どーゆうことかわからない。
それ以来、アイドルのファンを通ってこないまま大人になった。
ステイホーム中にビルボードで1位になったアジアのグループがいると
小耳にはさみ、初めて「Dynamite」という曲のMVをみた。
正直、ピンとこなくて(きらきらしてる…なるほどね)と30秒ほどで視聴を終了。
何日かしてまた同じMVを今度はじっくりと見てみたら、日本ではあまり
ないような多幸感のあるポップな映像にカルチャーショックをうけた。
それから、少しずついろいろな曲の動画を見ていくと歌もダンスもびっくりする
くらい上手い。MVも曲の世界観をしっかりと表現していて、とてもキレイ。
やばい、これはハマりそうだ…でもアイドルにハマりそうになっている自分を
冷静な目で斜めからみているもう1人の自分もいる。
しかし「Dynamite」のあとに発売された「 Life Goes On」という曲で完全に
ハマってしまった。その当時の心境にあまりにぴったりの歌詞でよく聴いていた。
やさしいメロディーにも慰められる。たくさんの曲を知った今でも一番好きな曲。
(ちなみに、BEというアルバムがとても良いので…)
ええい、ままよ!好きなものは好きなんだ!
ついに私はアイドルのファンになることを自分に許可した。
こうして無事オタクデビューして、日々研究していて思うのはアイドルというより
アーティストなんじゃないか?ということ。
同じ曲でも、衣装によって踊りや表情を少しずつ変えたりとその表現力はすごい。
実際に、私が知ったときにはすでにグローバルスーパースターと呼ばれるほど
世界中で人気があるグループだった。もう、呼ばれ方など関係ないくらいに。
彼らから元気をもらっている人たちが、この地球上にどれだけいるんだろう。
もっと早く知っていたらコンサートにも行けたかもしれないのにと悔やまれるけど、
きっと出会うタイミングは人それぞれで、私は今だったのだ。
かっこいい、楽しい、おもしろいだけじゃなく、活動から学べることもたくさんある。
いつかBTSのコンサートに行く!というのが夢のリストのひとつに加わった。
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夏になると毎年のように佐渡に遊びに行っていたけれど、いろいろ
な事情があってここ何年か上陸できないでいる。
島に住む友人が送ってくれた佐渡の詰め合わせ便(お米、お菓子など)
がうれしくて泣いた。あぁ、行きたい…と想いはつのるばかり。
そんなとき「佐渡に暮らす私は」という本に出合った。
この本は、新潟県立佐渡総合高等学校の1年生が故郷である佐渡に住む
身近な人たちに、島で暮らすことや働くことについてインタビューをして、
ポートレートの撮影も自分たちで行い、まとめたものだ。
名前を見ると同じ苗字だったりするから、家族か親戚かな?と想像して、
なんだか微笑ましい気持ちになる。
佐渡の地元パン中川製パンの社長さんや、トキのパッケージでおなじみ
佐渡乳業の方、観光スポットの佐渡金山で働く方、農家の方など96人分
のインタビューは読み応えがある。
高校生に向けてのアドバイスもありつつ、さまざまな職業につく人が
仕事をするうえで大切にしていることを知れるのはとても興味深い。
佐渡に限らず、私たちの生活はこうして一人一人の仕事によって支えられて
いるんだと忘れかけていた当たり前のことを、あらためて感じた。
おすすめの場所や、抱える課題、欲しい施設などは実際に暮らしている人
だからわかることで、いつも旅人として訪れている私にはわからない視点だ。
旅することは非日常。高揚感もあって、どうしてもキラキラした部分や、
めずらしいもの、初めて見るものに目がいく。
もし、そこに住んだとしたら時間とともに島になじんで、生活がはじまり
自分の撮る写真もきっと変わるだろう。
山や海があり、季節ごとに伝統芸能や祭りが行われる豊かな島。
みなさんが佐渡を誇りに思っていること、愛情が伝わってきた。
この本には生徒たちが撮った島の写真がランダムに3枚付いていて裏に
直筆メッセージでこう書かれていた。
「佐渡では自然を間近に感じることが出来るので、ぜひ1度佐渡に来てみて下さい。」
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6月某日。晴れ。
朝から部屋でパソコンと向き合い、もくもくと調べもの。
さすがに体を動かしたくなって、午後はウォーキングと買い物を
しようと近所に出かける。咲き始めた紫陽花があちこちにあって
かわいい。そうか、もう6月なんだな。
うっかりしてると気づかないうちに季節はどんどん過ぎる。
カメラを持っていない日に限って、撮りたい被写体と出会う現象なに。
思いのほか暑くてウォーキングはあきらめ、スーパーに向かう途中で
「手相見」と書かれた小さな看板をみつけた。へぇ〜とちらっと見て
通りすぎたものの、やっぱり気になって引き返しもう一度よく見ると、
料金がこころ銭(現代でいう投げ銭)となっている。ステキ!
手相は見てもらったことがないし、いいかもしれないと地下にある
スペースに降りて行くとかわいらしい女性が座っていた。
おそるおそる手を差し出すと、わ!おもしろい!と言われ、自分が
めずらしい手相を持っていたことを今さらながら発見。
知らなかったけど、手相はそのときの状況で変わっていくらしい。
向いていることや、合う環境などを教えてもらい最後にオラクルカード
を1枚引くと考えてもいなかったカードがでてはげしく動揺してしまった。
だいたいその日の手相見でテーマになっていたことの答え合わせのような
カードがでるそうだけど、まったく質問もしなかったことに関しての
カードに「これを引くために、今日来たのかもしれないですね」と
言われ、やけに納得した。心の奥を見透かされた気分…。
お代はそこの木の箱に入れて帰ってください、とお姉さん。
この方法とても好きだな〜。新しい時代を感じる。
偶然は必然とは、まさに。
平凡な1日が、小さな偶然で心がほかほかするうれしい日になった。
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今や自分の生活に欠かせないものとなっている音楽。
聴きはじめたのはいつからだろう?
私が山に囲まれた田舎の町で小学生だった頃、8つ歳のはなれた姉はすでに
東京で女子大生をしていて、ときどき東京のカルチャーを送ってくれた。
バナナの形をしたペンケースなど、その当時地元では売っていない珍しい物。
あこがれの東京に想いを馳せながら、嬉々として大切に使っていた。
その中におすすめの曲が入ったカセットテープもあった。洋楽、邦楽問わず
選曲されていて、特に印象に残っているのはセックス・ピストルズの
「Anarchy in the UK」という曲。なんてかっこいいんだろう!
と子供ながらに痺れて、歌詞の内容もわからないまま繰りかえしよく聴いた。
姉から受けた影響は大きい。初めて自分で買ったCDはXの「紅」だし、
アコースティックギターに挑戦するも、弦を押さえる指がいたくて断念。
バンドをやろうと中学のクラスメイト4人で集まってはみたものの、課題曲
だけ決めて1回も練習することなくそのまま解散。(謎すぎるよ、思春期…)
わりと長い間習っていたエレクトーンも楽譜が読めず、雰囲気でなんとなく
コードを弾いていたから、たいして上達することなく辞めてしまった。
自分で演奏することは諦めて、ピチカート・ファイヴやオリジナル・ラブ、
ミスチル、THE BOOM、SMILEなどを好んで聴いていた。
10代後半になり自分も上京すると、渋谷のタワーレコードに通いはじめる。
箭内さんと平間さんが手掛けるNO MUSIC NO LIFEのポスターも大好きだった。
各フロアに視聴機があって気になるCDをチェックしているとき、目にとまったのが
ミッシェル・ガン・エレファントだ。「why do you want to shake?」という曲の
再生スイッチを押したと同時にはじまったギターの音に、雷にうたれたような衝撃が
全身にはしった。あまりのかっこよさにその場で踊りだしそうになり、あわてて止めて
CDを掴みそのままレジに直行。その時、確実に自分の中で何かが変わった。
一瞬にしてロックンロールがはじまった。
ミッシェルの生の演奏を聴いてみたくなって、新宿の小さなライブハウスに行くと
フロアには満員のお客さん。人の波にもまれながらなんとか立っている足の裏から
ズンズンと響いてくる音楽は空気をふるわせ、体全体で聴いているような、音と一体化
しているかのような、何とも言えない体験だった。
そうしてCDとはまた違う楽しみ方を求めて、ライブハウスに行くようになった。
何かと刺激がつよい都会での暮らし。
自分を守るためなのか、もともとの性格なのか、ふだん閉じがちな心のシャッターが
写真を撮っているときと、音楽を聴いているときは開いているのがはっきりとわかる。
新しい曲との出会いは突然やってくる。お店のBGMでかかっていたり、遊びに行った
イベントで知ったり、ふいにラジオから流れてきたり。
(ちなみにJ-WAVEは朝6時からグリーンディやジェットをかけるところが好きだ。)
いい曲だな〜とアーティストや曲名を調べて、知らなかった世界が広がっていく喜び。
昔は、大人になったら音楽をあまり聴かなくなるのかな…なんて漠然と思っていたけど
全然そんなことはなくて、すっかり大人と言われる年齢になった今も20代の
ミュージシャンのつくる曲や歌詞に共感するし、胸を打たれる。
逆に、知らなかった昔の名曲におどろいたり、しみじみと涙することも。
国や年齢やジャンルに関係なく、心にすっと届いて元気をくれたり、寄り添ってくれる。
これまでの人生の中で、あのとき音楽に救われたと感じることは数えきれないほど。
まだまだ書きたいことはたくさんあるけど、今回はこのあたりで。
これからも新しい音楽と出会えるのが、サイコーに楽しみだ。
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cotenさんのサイトにて、Web個展を開催します。
「little light」4月29日〜5月13日まで見ることができます。
お時間ありましたら、ぜひご覧ください。
いろいろな方の写真も見ることができて楽しいです。
タイトルで検索してもらえるとみつかりやすいと思います。
coten
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新しいZINEをつくりました。
一年前の春の、ごく個人的で小さな記録。
去年の春はとまどうことばかりで、一日一日をどう乗りこえるか?
大げさではなく本当にそんな心境でした。
仕事も予定もなくて、ぽっかりと空いた時間。
その時の日記を読み返すと、散歩ばかりしている。
近所の川沿いや、井の頭公園をよく歩いていたっけ。
歩くと、もやもやした気持ちが少しだけ軽くなる気がした。
樹や花が今までに見たことないくらい力強く、いきいきと輝いて
いたのはこの先もずっと忘れないと思う。
こんな時でも、いつもどうり咲いてくれている桜に励まされた。
この未曽有の状況を撮影しておかねば!という報道カメラマン的な
気持ちよりも、ただただ自然の美しさに圧倒されて、撮ることで
自分自身が救われていたのだと思う。
HPにあるWeb shopで販売しています。
よかったらのぞいてみてください。
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2020年11月30日。とうとうその日がやってきた。
天気予報では雨マークだったけど、この空の感じなら大丈夫そう。
私は案外、晴れ女なのだ。旅先でも晴れることが多い。
カメラやフィルム、ささやかなお土産が入った荷物を持って、
緊張とも何とも言えない気持ちで電車に乗りこんだ。
「湯気のまち」でも書いたように、私の実家は小さな温泉地で鮮魚店を
営んでいた。私たち兄弟はそれぞれの場所で興味のある仕事をやって
いてお店を継ぐ人がいないため、父の代で閉店することになった。
これは1年前から父が決めていて覚悟していたつもりだったけど、
ついにこの日が来たんだな…来てしまったんだなぁ…と朝からさみしさ
でいっぱいだった。
4代目の父は、ほとんど休むことなく60年間お店に立ち続けた。
私は写真をはじめた時から夏と冬の休みに帰っては、20年以上お店で
働くみんなの姿や、町の風景を撮影していた。
最初は買ったばかりのカメラの練習をかねて、気軽に撮っていた気がする。
それがいつの間にか、自分の大切なライフワークのひとつになった。
今回は時期的なこともあって前日まで帰省するかとても悩んだけれど、
大好きだったお店の最後の日に少しでも立ち会いたいと帰ることにした。
当日の午前中に実家に到着すると父と母、そして長い間ずっと一緒にお店で
働いてくれている親戚のおじさんがいつものように迎えてくれた。
いつもと変わらないようでいて、そこにながれる空気は決定的にちがう。
しんみりと、ホッとしたのを混ぜたような表情とでも言おうか。
最後だからと買いにきてくれる常連さんもいるようでありがたいことに
けっこう忙しいらしい。お店にはすでに近所の人からお疲れさまのお花や、
贈り物や手紙が届いているのを見て、今日はこれまで祖父たちや両親が一生懸命
にやってきた仕事の集大成なんだ…とひとり胸がじーんとして、涙をこらえた。
家業としてずっと近くで見ていたから、その大変さがよくわかる。
明日から貼るという「閉店しました」のお知らせの紙を持っておどけてみせる父。
せっかく帰ってきたんだから、ユニクロに買い物に行こう!と急に言いだす母。
いつもは冗談を言い合っているのに、今日はなんだか口数の少ないおじさん。
3人に並んでもらいあわただしく記念撮影したり、準備していた表彰状やお花
を渡したりとバタバタで、泣いたり、ぼーっと感慨にふける余裕なし…。
こんな状況じゃなければもっと長い日数をかけて写真を撮りたかったのにと、
後ろ髪を引かれながら駅に向かった。
わずか3時間の滞在だったけど、お店にいることができて本当によかった。
最後の日まで、みんなが元気で営業できたことが何よりうれしい。
東京に戻って、フィルムを現像に出した。
時間がなくて急いで撮ったうえに、マスクで眼鏡がくもってファインダーがよく
見えなかったし大丈夫だろうか?と心配しつつネガをみたら、いい笑顔の3人が
写っていてようやく泣けてきた。
まだ閉店したという実感はわかないけれど、今までに撮ったたくさんの
写真を見返せば大好きだったお店はいつでもそこにある。
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あけましておめでとうございます。
新しい1年のはじまり。東京はピカピカの青空で気持ちがいい。
毎年愛用していた手帖が今年は発売されず、売り場で迷ったすえ
2021年はエビになった。この手帖のポイントはうしろに私の大好物
のアレ、そう「全国鉄道交通図」がついているところだ。
旅に行けなくても、家でこれを眺めているだけで楽しくなってくる。
何か、わくわくするような予定が書き込めますように。
みなさんのスケジュール帳にも、楽しい予定が書き込まれますように。
もう世の中のことは考えてもさっぱりわからないので、個人的な目標を。
これまで撮りっぱなしにしていた大量の写真をまとめること。
長年、どうやってまとめようかな〜と思案しながら撮影を続けてきた
いくつかの作品がここにきて急に自分のなかでオッケーがでて完結した。
なんとも不思議なタイミング。今の時点でも、5シリーズくらいはある。
どんなカタチで発表できるかまだわからないけど、いつでも見てもらえる
ようにコツコツと作業しようと思う。
あとは地味にやっているインスタグラムに今までの写真を投稿すること。
たとえ日付が98年になっていたとしても、気にしないでほしい。
マイペースな活動になりそうですが、今年もよろしくお願いします!
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2020年を振り返ると、このひと言に尽きると思う。
春にそれまでの日常が一気に変わり、新しい日常というものに
違和感をおぼえたけど今ではマスクにもすっかり慣れてしまった。
(正直、こんなに長くすることになるとは思っていなかった。)
私はといえば突然やってきたこの状況にうろたえて空回りしたり、
初めてする仕事でへっぽこな自分に落ち込んだり。
自信をなくしたりもするけど、写真を見てくれる人たちがいるから
何かまたつくりたいと思える。ほんとうに感謝です。
そんな毎日の中で、いつも音楽に救われてきた。
弱った心に寄り添ってくれる曲や、元気をくれる曲。
家でクサクサしていても、ラジオからUnderworldのBorn Slippyが
流れてきたら踊らずにはいられない。ひとりフェス開催。
音楽サイコー!という話は長くなるのでまたどこかで。
落ちついたらライブにも行って、生の音楽を聴きたいなぁ。
未来のことはわからないけど、希望はもっていたい。
みなさん、今年もお疲れさまでした。
暖かくして、よいお年をお迎えください。
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ついに…ついにデジタルカメラを買った。
20年以上フィルムを愛用しているけど、去年ここぞという大事な
場面で撮影に失敗することが続いて落ちこんでいた。
コンパクトカメラのストロボが故障していて光量が不足しアンダーに
なっていたり、使い慣れていないカメラのおまかせモードで撮ったら
被写体じゃない方に露出が合っていたり。現像したときのショックは大きい。
自分の作品だから支障がないといえばそうなんだけど、その大切な瞬間は
2度とこないし、ほんとに泣きたくなる。
これはどうにかしなければ、と重い腰をあげてデジタルカメラについて調べよう
と図書館で本を借りて、家電量販店に通った。
初めてだから値段もそこそこで気軽に使えるのがいい。
コンパクトで、ちょうど良さそうなカメラが見つかった。
長い間、デジタルカメラに抵抗があった。
撮ってもフィルムに残らないなんて自分は虚しくならないだろうか?
令和になった今もなお、データというものを信用していないのだ。
でも、これ以上せまい家の収納をネガとプリントに占領されるのもどうかと思う。
最近はフィルムの種類もへってきたし…いろいろな気持ちがせめぎ合う。
とりあえずは、フィルムカメラのサブ的な感じで様子をみようかな。
機能がありすぎて全然使いこなせていなかったフィルムカメラを中古屋さんに
買い取ってもらい、新しいデジタルカメラを購入した。
買ったことで満足してしまい、開けてない箱を遠まきに眺めている。
まずは箱を開けて説明書を取り出すところからだ。SDカードも買わないと。
いったいいつになったらこのカメラの出番がくるのか。
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写真展「イスノキモチ」無事に終了しました。
写真展「イスノキモチ」の日程が決まりました。
会場 西荻窪 村田商會
会期 2020年 8月1日〜10日
定休日 月・火 (10日の祝日は営業)
時間 12〜19時
西荻窪駅の北口から徒歩3分。こちらのお店は閉店した喫茶店の家具
や食器などの販売も行っている喫茶店&ショップです。
ご来店されましたらワンドリンクのオーダーをお願いします。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください!
(会場ではイスノキモチの写真集も販売します。)
村田商會 https://muratashokai.theshop.jp
インスタグラムはじめました。
これまでにフィルムで撮った写真を少しずつ投稿していこうと思います。
https://www.instagram.com/hideko_photo
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わけのわからないまま2020年の春が終わり、6月になった。
今年の上半期はなんだったのと言っている人がいたけどまったく同感だ。
あまりの突然の事態にこの日記にも何を書いたらいいのかわからず、
今となってはどうやって日々を過ごしていたのかよく思い出せない。
お家時間を楽しむでもなく、ただただ呆然としていた気がする…。
わかるのは夢中で写真集をつくっていたこと、そして家や近所でやたらと
写真を撮っていたこと。撮ったフィルム9本はまだ現像していないけど、
この春のことが鮮明に写っているんだろうなと思う。
そしてプリントした写真をみるたび胸がぎゅーっとなるんだ、きっと。
ようやく届いたマスクは、植本一子さんの黄色い本と一緒にしまっておく
ことにした。いろいろ感じたことを忘れないためにも。
今日はタバブックスの仕事文脈 東京モヤモヤ2020を読んでいる。
まさに今の自分の気分に合っていて、すごくおもしろい。
さて、写真集「イスノキモチ」ですが、吉祥寺の「百年」さん、
新潟市の「BOOKS f3」さんでお取り扱いいただいています。
お近くに行った際は、ぜひ店頭でお手にとってご覧ください!
( 展示の日程はまだ未定です。)
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なんてことない、ふつうのイスが愛おしい。
「イスノキモチ」の写真集ができあがりました。
おとずれた旅先や、日々の散歩の途中で出合ったイスのある風景。
第42回キヤノン写真新世紀で、佳作に選んでいただいた作品に写真を
追加し、再編集してまとめました。
以下、審査員の写真家 安村崇さんのコメントを引用させていただきます。
「人の不在が椅子のある空間との対話を促し、鑑賞者は椅子に残された
痕跡やその周囲の環境を注意深く観察するでしょう。
人気のなさとの親密な関係が結ばれるのはそんなときだと思います。」
被写体はイス…なにやらマニアックな写真集ではありますが、お楽しみ
いただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いします。
ホームページのweb shopからお買い求めいただけます。
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今日、ようやく冬のコートをしまった。
家の近所にある川沿いの桜並木は、見ごろを終えつつある。
この春は桜も大変だったろうな…。
咲きはじめたと思ったら風は強いし、雨に、季節はずれの雪まで降った。
晴れた日に散歩がてら様子を見に行くと、少しヨレっとしていたものの
今年も変わらずきれいで、たくさん写真を撮った。
いつもはフジのフィルムで撮影しているけど、今回はコダックにして
みたから仕上がりが楽しみだ。
さて、最近ですが「イスノキモチ」の写真集をつくっています。
6月中には完成させたいと思っていて、せっせと作業中です。
それに合わせて写真展を開催する予定ですが、状況によっては変更する
かもしれません。またこちらのブログでお知らせします。
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おひとりさまでどこまで行動できるか?
少し前までテレビでよくみた質問だけど、最近はおひとりさま用の席も
あるらしくフツーになりつつある。私の場合、昼間に一人でお店に入る
のはぜんぜん平気だけど、夜となるといっきにハードルがあがる。
友人は旅先で一人でふらりとお店に入ってそこに居合わせた地元の人と
仲良くなるとかで、とてもうらやましい。
それこそ旅の醍醐味じゃないかと思うけど、人見知りにはむずかしい。
何年か前に、青森に一人旅した時のこと。
春がはじまったばかりの弘前は、桜もまだつぼみで観光客もまばらだった。
教会や美術館を巡り、最後の目的に津軽三味線を聴くというのがあった。
調べてみると宿泊先の近くの居酒屋で生演奏が気軽にみられるらしい。
大勢でステージを見ながらなら、なんとか大丈夫かもしれない…ついに
初めての一人居酒屋にチャレンジする時がきた。
当日、そわそわして勢いあまって開店と同時にお店にはいってしまう。
平日の夕方5時、他にお客さんはいない。北国の男といった寡黙な大将と
2人きり。カウンターのすみっこに座り、ビールとおつまみを何品か注文した。
店内に張り詰めた空気がながれているのをうっすらと感じる。
ちびちびビールを舐め、気まずさをどうにかしようと店内にあった雑誌を
読むでもなく、ひたすらめくっていたその時。
「じゃあ、はじめます」と大将が目の前にイスを持ってきて三味線をかまえた。
(えぇー!?思ってたのとちがうんですけど!)思わぬ展開にあたふたする。
でも、ちゃんと見ないとわるいなぁ…私のためだけに演奏してくれるのだから。
意を決して、至近距離で向かい合う2人。恥ずかしい、とにかく恥ずかしい。
大将の三味線と唄はすばらしかった、日本海の荒波をあらわすかのような力強い音色。
1曲終わるごとに小さく拍手すると、うつむき加減ではにかんだ笑顔をみせてくれた。
せっかくだからと、演奏しているところをひかえめに2〜3枚写真におさめた。
そのあと、ほかのお客さんや演奏者の人たちがワイワイとお店に入ってきてまた
すぐに演奏がはじまった。一緒でよかったのに…と心の中で思う。
衝撃的なできごとで、何を食べたのかまったく思いだせない青森の夜だった。
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新年あけましておめでとうございます。
相変わらずマイペースな活動になりそうですが、新しいシリーズを
まとめはじめたので、何かしら発表できたらいいなと思っています。
今年もどうぞよろしくお願いします。
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もうすぐ2019年も終わろうとしている。
今年もラジオからユニコーンの「雪が降る町」が流れて、大満足。
私は昔からなぜか年末年始が大好きで、12月になったとたん
「今年も終わりだねぇ」とか「よいお年を」と言いたくて仕方がない。
年賀状を書くのも好きだけど、干支によってやる気が左右される。
自分が撮ったその年の干支のちょうどいい写真があるとがぜん張り切る。
最近は出さない人も多いから、自然とこちらから出す枚数も減ってきて
ちょっと寂しい。
前はカウントダウンのライブに行ったりするのが楽しみだったけど
最近は家で静かに過ごすのが一番いい。これって歳のせいだろうか…。
今年を振り返ると、いろいろなことがあった。
立ち止まって自分と向き合うような時間もあったし、そんな時なんとか
前に進みたいと夢中になって制作した作品で写真新世紀展に参加させて
もらえたり、両親の金婚式のお祝いで家族で京都に行ったりもした。
家族そろって旅行に行くのはたぶん20年以上ぶりで、いい思い出になった。
きっと当たり前のことなんて何ひとつなくて、それに気づいて感謝できる
ような人になりたいなぁと思う。
思いつくままに書いていたら、まとまりのない文章になってしまった。
今年もありがとうございました。みなさま、よいお年をお迎えください。
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東京都写真美術館で開催されていた写真新世紀展2019が終わって、
いつもの生活に戻った。寂しくもあり、ほっとしてる自分もいる。
ある意味、お祭りのような浮き足立った日々でそわそわしていたけど、
はじまってみれば、あっという間の1ヶ月だった。
7月に受賞の連絡をいただき、うれしくて家で小躍りした日が懐かしい。
それから展示する写真のセレクトや、説明する文章を書いたり、ブック
の制作などを少しずつ進めていった。
佳作でも準備でいっぱいいっぱいだったから、優秀賞の方々はさぞ大変
だったことだろうと思う。早く作品をみてもらいたい!というはやる
気持ちをおさえきれず、10月までがとても長く感じた。
初日を迎えたときは、ようやく始まった…と安堵したのを覚えている。
ほとんど会場にいないから、写真展の様子がまったくわからなくて
(あれ?本当にやってる?)と何回もなったけど、たまに会場に行くと
置いてあるポートフォリオのヨレヨレ具合で、作品をみてもらえている
ことがわかった。さりげなく整えて、最終日までよろしくねと撫でて帰る。
見てくれた友人から、感想を長いメールでもらったのもうれしかった。
専門学校時代の友人は、私がまだ公募展に応募していたことに驚いていたけど
写真新世紀は年齢制限がないから、いくつになってもチャレンジできる。
これは作品をつくる時のモチベーションにもなるし、ほんとにありがたい(涙)
他の受賞者の方の展示も、写真だけじゃなく映像もあったり、展示方法も
工夫されていて、とても参考になった。
今年は、初めてグランプリを決める公開審査会にも参加した。
7人の優秀賞の方のプレゼンテーションを聞いていたら、作品への想い、
写真に対する熱量が伝わってきて何回も泣きそうになってしまった。
正直、こんなに感動すると思っていなかった…行ってよかった。
みんなそれぞれのやり方で、真剣に写真と向き合っているんだなぁ。
グランプリは中村智道さんに決定した。映像作家でもある中村さんが次に
どんな作品をつくるのか、来年の個展が楽しみだ。
今回、写真新世紀展2019に作家として参加させていただいたことは
これから作品制作をしていくうえで、とても励みになった。
「イスノキモチ」は何枚か追加して再編集して、手にとってもらえる
本という形にしたいと思う。
この作品を佳作に選んでくださった写真家の安村崇さん、お世話になった
キヤノン写真新世紀事務局の方々、会場で作品をみてくださったみなさま、
本当にどうもありがとうございました!
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「 無意識 = 自分が自分の行為に気がつかないこと 」
旅先や日々のなかで、無意識のうちに撮っているものがある。
どうやらその被写体に出会うと、撮ろうと思っていないのに反射的に
カメラを向けているらしい。もちろん覚えていない。
雑誌をみていたら、興味深い記事をみつけた。
アメリカのニューカラーを代表する写真家 ジョエル・マイロウィッツ
は広告用の写真をセレクトするため、過去に各地で撮りためた大量の
写真から気になるものを抜き出していたとき、どの写真にも花が写り
込んでいることに気づいた。
「無意識にたまたま写った花こそが気になった数枚をつなぐ軸だった
んだ。まさかこの自分が花をテーマに撮るとは夢にも思わなかったが、
実はとっくに撮り続けていたのだ。」とインタビューで語っている。
それからは意識的に撮りはじめ、路上にあふれる花や庭園、花柄の服
などを撮影した写真集「Wild Flowers」を発表した。
何年か前に佐渡島の写真展をしたとき、会場に置いてあった感想ノートに
「展示してあったイスの写真が好きです」と書いてくれた方がいて、その
言葉をきっかけに家にあるネガを見直してみたら、イスを撮ったコマが
たくさんでてきてびっくりした。いつの間に?!と思う。
自分では気づかないうちに惹かれていて、無意識に撮っていたのだ。
発掘したそれらをまとめてできたのが「イスノキモチ」という作品だ。
イス以外にも、理容店、猫、花、3人組の後ろ姿なんてのもある。
本当にふしぎだ…。他の人にもこーゆうのあるんだろうか?
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「イスノキモチ」という作品が、Canon主催の公募展・ 第42回
写真新世紀で、佳作を受賞することができました。
写真新世紀は写真を撮りはじめた頃からあこがれの公募展で、作品展
を見に行くたびに、自由な発想で撮られた写真を前にドキドキしたり、
感動したり、たくさんの刺激とやる気をもらっていました。
いつか自分も…とひとつの目標でもあったので本当にうれしいです。
展示は10月なので少し先ですが、新しい作品をみなさんに見てい
ただけるのが今からとても楽しみです!
「写真新世紀展 2019」 10/19~11/17 東京都写真美術館
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清澄白河にある保存食の専門店「HOZON」さんに行ってきた。
もともと佐渡にあった拠点を東京に移して、2018年5月にお店をオープン。
佐渡でとれる素材を保存食にして瓶詰にしたものや、海外や日本全国
から集めた、めずらしい缶詰や保存食がところせましと置いてある。
その日、店頭は無人…。置かれたベルをチーンと鳴らすと中から実験室に
いるような白衣姿で、お店の代表の武田さんがあらわれた。
ちょうど佐渡から届いたさくらんぼの種を手作業でひとつひとつ抜いている
ところで、お店の奥にある工房は忙しそうだった。
人気のゴボウトユズミソ、ウメシナモンなどジャムやシロップに使う素材の
組み合わせのセンスが抜群で、行くたびに新しい発見がある。
お客さんの意見からヒントをもらうこともあり、日々研究を重ねているそう。
どれも気になったけど、今回はレモンとジャスミンのシロップを購入した。
2階にイートインスペースができたので、そちらで休憩させてもらうことに。
武田さんが一緒に上がってきていろいろと説明してくれ、帰り際にさりげなく
アナログレコードに針をおとしてくれた(笑)ジジジ…と音楽がはじまる。
靴を脱いで上がるので、友達の家に遊びに来たみたいですっかりくつろいだ。
本棚にある本は自由に読めて、気に入ったら買うこともできる。
ちなみに私の写真集「佐渡 しなしな 歩き」も置いていただいています。
ありがとうございます!(ちゃっかり宣伝)
今後、こちらのスペースではワークショップやライブも行われる予定で、
季節ごとに並ぶ新作の瓶詰と合わせて楽しみだ。
清澄白河に行ったら、ぜひ散歩コースに入れたいお店のひとつです。
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宝くじが当たった。
3千円…せっかくだから、なにか普段ならやらないことに使いたい。
そうだ、自分用にブーケをつくってもらおう!とひらめいた。
プレゼントに贈ることはあっても、なかなか自分では買わない。
3千円をお財布に入れ、意気揚々と憧れの花屋さんに行く。
いつも中に入れずお店の前をウロウロするだけだったけど今日は違う。
「ご用途は?」「あっ、自分用です」ちょっと恥ずかしい。
「グリーン多めで素朴な感じで…、あとはおまかせします。」
そう、私はおまかせが好きだ。美容院に行った時も大まかなイメージを
伝えたら、あとはその美容師さんにおまかせ。
それで何回も失敗したことがあるけど、わくわくするからやめられない。
オーダーして、お店の外で待つこと20分。
出来あがったブーケには初めて見る花が多くて、いい意味で想像と
違ってびっくりした。こーゆうのが楽しい、おまかせにしてよかった!
家に帰って、ガラスの容器に移しかえるとブーケの時よりも
ひとつひとつの花の個性がよくわかって、そりゃもうかわいい。
最近、ハマって読んでいる女優でエッセイストの高峰秀子さんの本に
「花をどっさり買ってきて、家にある器にかざる。
そして何もせず、ただぼけーっと眺めるのが至福の時間。」
と書いてあった。ほんとに、花が生活の中にあるのは幸せだ。
私もしばらくは、ぼけーっと見て癒されよう。
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少し前のこと。神奈川県の真鶴へ行ってきた。
テレビや本で見てからなんとなく気になっていて、遠いと思っていた
けど調べてみたら家から2時間ほどで着くらしい。
ちょうど熱海で見たい展示もあって、いい機会と出かけることにした。
熱海は昭和のリゾート地という雰囲気が残っていて、とても好きな町。
泊まってみたいホテルや、行きたい喫茶店がたくさんある。
目的の展示を見て、海の前にある喫茶店に立ち寄ってからモーレツに
うしろ髪を引かれつつ、電車で2駅となりの真鶴へ向かった。
平日にもかかわらず観光客で賑わっていた熱海とちがい、真鶴駅は
静かで穏やかだった。ほっとして、ベンチでひと休みする。
ほとんど何も調べずにきた。どこに行こうかなぁ。
高台から町を眺めようと案内所で地図をもらったけど、気の向くままに
歩いていたらなぜか足は海の方に向かっていた。
まぁ、いいか…そのままぐんぐん坂を下って漁港にたどり着いた。
春らしい、うららかな午後。
絵を描いている人、釣り糸を垂らしている人がちらほらいる。
漁師さんたちが楽しそうにおしゃべりしながら網の手入れをしていた。
群れで泳ぐ小さな魚や、停泊する船をみたりのんびりしたいい時間
だった。どこに行っても自分の過ごし方は変わらないんだなと思ったら、
呆れてちょっと笑えた。
あとで知ったのだけど、真鶴には「美の基準」というまちづくりの条例
があり、そのおかげで昔ながらの美しい町並みが守られているそう。
そういえば高層マンションやショッピングモールはなく、坂道の途中に
お肉屋さんや床屋さんがあったり、小さな公園があちこちにあった。
のどかでなつかしい感じがして、とても居心地がよかった。
帰りに駅前にある商店で神奈川の特産の湘南ゴールドを買った。
黄色くてかわいい柑橘が、袋にぎっしり入っている。
大満足の小さな旅だった。
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写真の専門学校にはいって最初にでた課題がたしか「三社祭」だった。
毎年5月に浅草で3日間かけて行われる、それは有名なお祭りだ。
50ミリのレンズ一本で全体の風景、御神輿を担いでいる人の上半身
のポートレート、お祭りらしさを撮影する、そんな内容だったと思う。
買って間もないNikon FM2にモノクロフィルムをつめて、いざ初めて
の三社祭へ。一緒に行ったクラスメイトたちとひととおり屋台を見て
まわってから別行動になり、それぞれ撮影を開始した。
ハッピを着ている犬、はしゃぐ子供たち、着物姿の渋くてかっこいい
おじいさん。思わず笑顔になるような場面にたくさん出会った。
さて、問題はポートレートだ。
単焦点のレンズはズームができないからアップで撮るにはかなり近くに
寄らないと撮れない。被写体には自らの足で近づくんだ!とのことらしい。
お祭りに慣れていない私は人の多さと熱気に圧倒されるばかりで、
御神輿に近づけない。これじゃあ、担いでいる人が豆つぶくらいだ。
なんで望遠レンズじゃダメなんだ…と先生をうらむ。
結局この日、ポートレートはほとんど撮れなかった。
次の日も朝早くから浅草へ向かった。
今日こそ撮らなければ課題が提出できない、へっぴり腰で遠くから見物して
る場合じゃない!といやでも気合がはいる。
意を決してぐいぐいと人をかき分けて御神輿に近づくと、担いでいる人たち
のいきいきとした表情が目に入ってきた。かっこいいな〜!
見ているこちら側にも、興奮と楽しさが伝わってきて一体感がうまれる。
気がつくと人にもまれながらすごい至近距離で撮っていた。
それ以来、自分のなかに眠っていたお祭り魂に火がついたのか課題でも
ないのに三社祭に行き、夏の浅草サンバカーニバル、高円寺の阿波踊り、
下町の盆踊りにまで通うほど「お祭り」的なものにハマったのだった。
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ヨドバシカメラにフィルムを買いに行ったらいつも使っているフィルム
が棚に見当たらない。品切れ中かな?と思って店員さんに聞いたら
「生産終了しましたよ」さらっと言われた。
あまりのショックにその場に立ち尽くし、結局なにも買わずに店をでた。
がっくりと肩をおとして夜の街をさまよいながら、そろそろデジタルに
するべきなのか、と悲しい気持ちでいっぱいだった。
わたしがフィルムを好きな理由はなんだろう?
写真のセレクト中に、たしかあそこで撮ったあのコマがあったはずと
ふと思い出して、おぼろげな記憶をたよりにネガを探しはじめる。
20年分のネガはけっこうな本数で、一日かけての捜索はほぼ半泣き。
気に入ったコマはきちんとアルバムに入れているけど、それ以外は
整理せずにざっくりしまってあるからだ自分め、と毎回反省はする。
昔のネガを引っぱりだして見ていると、思わぬ発見をすることもある。
撮ったときはピンとこなくてプリントもせずにすっかり忘れていたけど、
(あれっ?これ…すごくいいのでは?!)ということがよくあるのだ。
寝かせておいたから熟成されたのか、いいと思うポイントがかわったのか。
そんなときはまるで山の中からお宝を見つけたかのように一人で大興奮。
フィルムはお金がかかるし、ネガやプリントを保管するスペースも必要だ
けど、こーゆうことがあるからおもしろくてやめられない。
ある写真家の人がインタビューで「フィルムは消せないのがいい」と
言っているのを読んで、たしかにと共感した。
デジタルで撮影していたらたぶん消してしまっていたであろう写真が
何年かたって、急に輝いてみえることもある。
デジカメを買おうかとちょっと考えたりもしたけど、機械が苦手だし
まだまだフィルムで撮り続けたいと願う今日この頃だ。
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大阪から佐渡に移住したやどかり一家こと三島宏之さん、明香さん、
フリーライターの鶴見済さんのトークイベントに行ってきた。
今回のテーマは「お金より欲しいもの!!」これは興味深い…。
会場には宏之さんの撮った佐渡の写真や、明香さんのつくったリメイク
かっぽう着、佐渡の食材で作ったおにぎりやタルトなどが販売されていて
小さな佐渡物産展のよう。(写真は長女ほのかちゃん作のブローチ!)
2014年5月、三島さん一家はお子さんが生まれたこともあって、
より良い環境を求めて友人が住んでいた佐渡に移住した。
住む家だけみつけて仕事は決めずに島に渡ったけれど、若者が引っ越し
てきたと集落のなかで広まって、すぐに農家さんからお手伝いを頼まれ
るようになったそう。
高齢の方が多く「助かったよ、ありがとう」と感謝してもらえることに
よろこびを感じた。そうして畑や田んぼのお手伝いをしていると
知り合いも増えてあいさつを交わしたり、集落の行事やお祭りの
練習に参加しているうちに自然と居場所ができていったという。
都会にいたときは「こうしたい!」とか、お金の心配をしていたけど
島では地域の人たちの要求に応え、そこにある仕事をして受け身でいる。
いざとなったら畑を耕せばなんとかなるし、海に行けば魚が釣れるという
安心感がありリラックスして過ごせる、と三島さんは言う。
お金を使わないでいるとおすそ分けをいただいたり、人とのつながりが
濃くなっていく。自分たちは何でお返しができるかと考えて、廃校で
お花見コンサートを開催したそう。明香さんは次の楽しいことを計画中だ。
すべてをコントロールしようとあれこれ考えすぎず、身を任せてみる。
三島さんちの暮らし方にはお金を使わずに、より自由に豊かに暮らすため
のヒントがたくさんあった。
三島さんのブログ
http://naminohana.blogspot.com
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家でネガの整理をしていたら、猫を写したコマがたくさんあった。
けっこうな枚数があるから一冊シリーズでまとめようかと思うほど。
とくに意識したわけではないけれど、道で出会ったら「どーも」って
あいさつがわりに1,2枚撮らせてもらう。なんてことない場所でも猫が
そこにいるだけで、ストーリーがあるような写真になるから不思議だ。
実家でインコを飼っていたときは、猫は天敵!くらいに思っていたけど
バイト先のひとがみなそろって愛猫家で、目尻をさげてうれしそうに
自分の飼い猫の話をしたり、かわいいでしょと写真を見せられたり、
ある時などはお店にふわふわの子猫を連れてきたりするものだから、
私もいつの間にか少しずつ好きになっていた。
昔、住んでいたアパートの近くに公園があっていつも三毛猫がいた。
どこかの家のその猫は、小柄でどことなく品があり姉さんという感じ。
私の姿に気づくと、しかたないわねぇ…といった足取りでゆっくり
こちらに歩いてきて、ごろんと横になると撫でさせてくれた。
触り方が気に入らないのか、ときどき容赦なく猫キックがはいる。
クールなこの猫に20歳そこそこだった私は面倒をみてもらっていた
ような気がする。さみしい時にはカメラを片手に、よく会いに行った。
愛鳥家としては「猫がすき!」と言うのはなんだかくやしいし、もし一緒に
暮らしたとしたら夢中になって一日中あとをつけたり、ちょっかいをだして
まちがいなく猫にうっとおしがられるだろう。
今のところ恋心はそっと隠したまま、ビミョーな関係を保っている。
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初めて会った人に「趣味はなに?」と質問されることがたまにある。
写真を撮るのも、音楽を聴くのも好きですねぇ…とだいたい答えるけど、
本当はもうひとつある。建物をみることだ。街に残ってる昭和な建築や、
うっとりするようなゴージャスな洋館も好き。話しはじめるとタイルが
どうとか、この手すりのカーブがたまらないなど、オタク的な部分が
ですぎてしまい、会話が弾まなそうなのでこれはあまり人には言わない。
建築家では、前川國男の設計した建物が好きだ。
ル・コルビュジエの元で学んだモダニズム建築の旗手。日本の建築界を
リードしたとあるが、むずかしいことはわからない私はただ建物を前に
して「かっこいい!」とときめいているだけのミーハーなファンだ。
どの作品にも遊び心があって、どこか親しみやすさがあるように思う。
何年か前のこと。雑誌ブルータスでみた弘前市民会館がとてもステキで、
実際に見てみたい!と春がはじまったばかりの青森県に向かった。
弘前市には前川國男の手がけた建築が8作品あり、デビュー作もある。
さらに明治時代に建てられた洋館や教会もたくさんあって、建物好きには
夢のような場所だった。うれしい悲鳴とはまさにこのことだ、と思いつつ
2泊3日の滞在中、朝早くから暗くなるまで見学してまわった。
撮った写真を見ながら、また行きたいなぁと夢の場所を思いだしている。
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少し前の話しになるけど、テレビでMr.childrenの特集をやっていた。
ライブでのお茶目な桜井さんの映像や、メンバー同士の絆のつよさ、
曲のすばらしさをミスチルファンの芸人の人たちが熱く語っていた。
(そうです、アメトークSPのミスチル芸人です。)
そして思いだした。私はミスチルが好きだったのだ、と。
1993年に発売した「クロスロード」でハマり、毎日聴いていた。
翌年、イノセントワールドのツアーで地元である長野市民会館にきて
くれることになり、運よくチケットをゲットした私と友達は電車で
1時間ほどかけて市内のファッションビルまで洋服を買いに行った。
人生で初めてのコンサートに何を着て行くか?
その当時ティーンだった私たちにとってこれはとても重要な問題で、
かぎられたお店をぐるぐるとまわって真剣に選んだ。
たしか、2人とも似たようなチェックのスカートを買ったと思う。
そしてむかえたコンサート当日。目の前に本物のミスチルがいる!
それだけで大興奮の私たち。あとはほとんど覚えていない。
輝くようなライトに照らされてステージの上で歌い、踊る桜井さんが
まぶしかった。終わったあと、一緒に歌いすぎたかな、はしゃぎすぎた
んじゃないかとコンサートの反省会をしたのだった。
(調べてみたら、次に長野にきてくれたのは15年後だったらしい…)
忘れていたミスチル魂にふたたび火がついて、ツタヤに走った。
しばらくぶりに聴いたけど、やっぱりいい曲ばかりだなぁ。
すっかり大人になったいまもメロディーが、歌詞が心にしみる。
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SNSから距離をおくようになって、ぽっかりとした時間ができた。
何気なく見ていたけど、けっこうながい時間見ていたんだと気づく。
何をしようかなぁ。そうだ、英語を勉強しようと思い立った。
学生時代たしか英語は好きな科目だったはずだけど、どーゆうわけか
いまの自分の英語のレベルは限りなく0に近い。
英語の曲を聴いて涙がでるほど感動しているのに、歌詞の内容はまったく
わかっていない。海外旅行に行って、ほぼひと言も英語をしゃべらずに
(同行者まかせ)帰ってきたときはさすがに反省した。
少しでもわかるようになったら楽しいだろうなと、本屋さんに向かった。
他の言語にくらべ英語の本はたくさんあって、どれにしたらいいか迷う。
60才からはじめる英会話という本をみつけ、シニア向けなら簡単かも
しれないと手にとってパラパラと中を見ると「孫はかわいいねぇ」という
例文で、おっとこれはまだ早いと棚に戻す。
迷ったすえ、中学英語をやり直すという本をレジに持っていった。
家に帰って、やる気満々でページを開くと最初のテーマは名詞。
名詞、動詞、形容詞、冠詞?…まずはこの日本語の意味から調べること
になる。名詞には「a ・an・ the」をつける、か。
やたらと「a」がつくと思ってたけどそーゆうことだったのね。
へぇ〜なるほど〜、と満足してしまいそこから先に進まない。
こんな調子ではたして、英語を話せるようになる日はくるのか。
おばあちゃんになる頃にはきっと。maybe…。
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六本木というと、なんとなく大人の街というイメージで近寄りがたい。
それまで数えるほどしか行ったことがなかったけれど、私にとって特別な
場所になったのは2014年の秋のことだった。
富士フイルム主催で新しくはじまった公募展「写真家たちの新しい物語」で、
夏の佐渡島を撮った作品を選んでいただき、東京ミッドタウンの中にある
富士フイルムフォトサロンで個展を開催させてもらえることになったのだ。
10年以上かけてコツコツと撮影していた写真がようやく見てもらえるという
おおきな喜びとともに、得体のしれないプレッシャーを勝手に感じていた。
初めての個展を六本木で、しかも第1回目が自分って…大丈夫だろうか?
小心者の私。めずらしく眠れない夜が続いた。
そんな弱気なことを言ってる間にも、DM制作や展示するプリントの色チェック、
会場で配るチラシ作り、やることは山積みで準備はどんどん進んでいく。
富士フイルムの担当の方、恵比寿にあるプロラボ TCKの方々、友人などに
助けられながら、さわやかな秋晴れの日、ついに初めての個展がはじまった。
いつも小さなファイルで見ていた写真が大きなサイズに引き伸ばされライトを
浴びてどこか誇らしげに並んでいるようで、胸がいっぱいになった。
ミッドタウンという場所のおかげもあり、会場にはたくさんの方が来てくれた。
自分の写真を知らない人たちが見てくれているという状況がなぜか恥ずかしくて、
会場にある小さな受付スペースに、できるだけ気配を消して身をひそめていた。
お昼時には近くのサラリーマンらしい集団が休憩のついでにのぞいてくれたり、
DMを置かせてもらったカフェの女の子、専門学校時代の友人、地元の長野から
家族や友人、仕事仲間や、佐渡に住む友人もわざわざ見に来てくれた。
写真を見て笑っていたり、つっこんでいる様子を陰からこっそり見守りながら
(こーゆう風に楽しんでもらいたくて私は写真を撮っているんだなぁ)とあらためて
思い、しみじみとうれしかった。佐渡の撮影をはじめた頃から、これまでの日々を
振りかえると、ありがとうと伝えたい人たちの顔が次々に浮かんだ。
長いようで短かった7日間。
最終日の閉場時間になると設営会社のプロの手によって展示してあった50枚ほど
の写真はあっという間に外され、何ごともなかったようにもとどおり入っていた箱に
ぴったりとおさまった。今までのは夢だったのかと思うほど、あまりに一瞬の出来事。
余韻にひたる間もなく荷物を両手に抱えて外にでて、ぼんやりと立ち尽くした。
終わったんだ…六本木の風に吹かれて、天高くそびえるミッドタウンを見上げた。
そして手伝ってくれた友人と姉と、シシリアでささやかな打ち上げをした。
写真展の準備から本番まで、楽しくも嵐のような怒涛の日々が過ぎて、
終わってホッとしたのか、そのあと高熱がでて2日間寝込んだのでした。
富士フイルムフォトサロンHP https://www.fujifilm.co.jp/photosalon/
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手渡した言葉が、相手になにか違う意味にとらえられてしまったようで、
ええっ!そーゆう意味じゃなかったんだけどなぁ…とあわてる。
大人になっても想いを伝えるのは、なかなかどうしてむずかしい。
いまはSNSの時代だけど、できるなら直接会って話す、その人のもつ空気
を感じながら、というのがやっぱり一番じゃないかと思う。
家族、友達でも同じこと。時間は永遠にあるわけじゃない。
言わなくてもわかってくれているはずと考えるのはきっと甘えていて、
大切なことは言葉にして相手に伝える必要があるんじゃないか。
最近、そんなことを考えている。
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町を歩くと、どこからかふんわりと金木犀の香りがしてうれしくなる。
ご近所の栗園では生栗や焼き栗が買えるそうで、販売日には行列だ。
秋といえば読書と胸を張っていえるほど本は読まないけれど、日記や
エッセイが好きで高山なおみさん、いしいしんじさん、川上弘美さん
、服部みれいさんなどの本を図書館で借りては読んでいる。
ふと気がついたけど、日記以外にもハマっているジャンルがあった。
「誰かがお店をはじめる」という内容の本だ。
渋谷のすみっこでべジ食堂、わたしの小さな古本屋、ガケ書房の頃、
花屋になりたくない花屋です。
お店をはじめることになった経緯から、場所探し、内装にまつわる
あれこれ、開店してからのできごとが書かれている。
自分の実家が自営業だからだろうか、読んでいるとやけに感情移入して
しまい、一緒にお店をつくっているような気分になっている。
経営することのむずかしさや、お客さんとの関係、店主のこだわり。
自分の子供のようにお店を守ろうとしていて愛情が伝わってくる。
最近読んだのは、東京の桜新町で「砂の岬」というカレー屋さんを
されている鈴木さんご夫婦の本、不器用なカレー食堂だ。
学生時代のこと、2人の出会い、初めてインドに行ったときのことや、
お店をはじめるまでのエピソードがそれぞれの言葉で書かれていて
ご本人は不器用と言っているけれど、その姿はとても真摯で泣けてくる。
一気に読むのがもったいなくてちびちび読み進めた。(途中2回ほど号泣)
インド人はそんなに頻繁にチャイを飲むのだろうか?バナナの葉っぱが
お皿がわり?!すっかり影響されて、インドに行ってみたくなっている。
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今年は梅雨明けがいつもより早くて(ちょ、ちょっと待ってー!)
心の準備ができていないまま、容赦なく夏ははじまった。
テレビをみていると盛んに「平成さいごの夏」だと言っている。
そう聞くとせっかくだから何か思い出に残るような特別なことをしよう
かとも思うけど、暑すぎてけっきょく家でダラダラしている。
そんなことよりも…。
秋に誕生日をむかえる私にとってはこれが30代さいごの夏なのだ。
木々の葉が色づきはじめるころには、未知のゾーン40代に突入する。
なにか30代のうちにやり残したことはないかしら?と考えてみる。
インドに行って人生観をかえるとか?思いきってスカイダイビングとか?
そういえば、金髪にしてみたかったんだっけ。急に焦りはじめて迷走する。
「39歳から40歳になる時ってどうでした?」人生の先輩たちに聞いて
みても「別にぃ〜」というそっけない答え。そんなものなのかなぁ。
ふと見まわしてみると、周りの40代はマイペースでなんだか楽しそうだ。
この頃、図書館で借りる雑誌が「ミセス」や「婦人之友」になってきた。
おばあちゃんの暮らしぶりみたいな本も好き。お気に入りの飲み物は白湯だし、
夜は9時すぎるともう瞼をあけていられない。一人でじたばたしているけど、
ゆっくりとそして確実に大人の階段をのぼっているのだった。
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実を言うと、押しかけアシスタントをさせてもらったのは1回だけじゃない。
写真の専門学校時代にライブカメラマンを目指していた。
大好きな音楽に身をゆだねながらシャッターを押すなんて最高じゃないか。
自由課題のテーマを「ライブ」にして、都内のライブハウスに通っては撮影
する日々。イベントで演奏してるのは知らないバンドばかりだったけど、
小さなライブハウスにはいろんな人の夢が詰まっているようで楽しかった。
当時、愛読していた音楽雑誌に尊敬してやまないライブカメラマンの人がいた。
構図とかピントがどうこうとかを越えた写真で、お客さんの興奮やその場の
空気感が写っていて、ぱっとひと目見ただけでその人が撮ったとわかる。
音が聴こえてくるようなライブ写真で、かっこいいなぁ〜としびれてしまう。
どうにか弟子にしてもらえないだろうか…考えに考えたすえアシスタントの
募集もしていないのに出版社に電話をかけたのだった。
若いってなんて怖いもの知らずなんだろう、勢いだけがすべての20代前半。
一度会ってもらえることになり、渋谷のカフェでブックを見てもらった。
憧れのカメラマンに写真をみてもらえることに緊張しまくりの私。
「う〜ん…いいんじゃない?」持参したライブ写真にはほぼノーコメントで、
憧れのカメラマンは目の前でおいしそうにフルーツパフェを頬張っている。
普段アシスタントは必要ないけど、ちょうど夏フェスシーズンで人手がいる
ということで、間近にせまったフジロックに同行させてもらえることになった!
人生に運というものがあるならばすべて使い果たしたな、と思うほどの幸運だ。
フジロックは、新潟の雄大な山の中にいくつかのステージをつくって行われる
日本を代表する音楽フェスで、海外からも有名なミュージシャンがたくさん来る。
私のメインの仕事は、入り口から離れた場所にあるステージまで機材を運ぶこと。
山道を予備のカメラ、レンズ、フィルムなどが入ったずっしりと重いバックを
師匠のあとについて一緒に運んだ。楽しそうにはしゃぐ人たちとすれ違う。
ステージ前に到着すると、日焼けしたガテン系の男性カメラマンが何人かいた。
日頃の運動不足がたたってか、機材を背負って歩いただけでへろへろな自分が
今からこの場所に挑戦するのは無理なんじゃ…と初日で心が折れてしまった。
ライブがはじまると特に手伝えることがなくて「見てていいよ」という師匠の
優しい言葉に甘えて、お客さんに交じって音楽をめいっぱい堪能した夏の3日間。
ステージ前でロックに撮影する師匠の姿を、遠くから見ていた。かっこよかった。
これが人生で初めてのアシスタント。若かったとはいえ、いま思えば世間知らず
で失礼なことばかりだったと恥ずかしくなる。
きっと、役にたたないひよっこアシスタントだったに違いない。
でも、ここには書ききれないほど楽しくて忘れられない貴重な経験だった。
憧れのフジロックに連れていってくれた師匠に感謝です。
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