旅先や散歩中にアレをみつけると、ふらふらと引き寄せられてしまう。

くるくると軽やかに回っている赤、白、青のフランスの国旗みたいなアレ。

調べてみたらサインポールという名前で、理容店の世界共通のマークらしい。

街でいい感じの佇まいの理容店を発見。ガラス越しにちらりと店内の様子

をうかがうと、そこだけ時が止まったような昭和な空間が広がっている。

いてもたってもいられず、気がついたらお店のドアをそーっとあけて

「あのぅ、もしよければ見学させてもらえませんか?」とお願いしている。

 

突然のあやしい訪問者にもかかわらず、こころよく見せてもらえたらラッキー。

好きなタイプの理容店には造花が飾られていたり、レトロなガラスの戸棚や、

パステルカラーのタイルでつくられた年代物の流し台があったりする。

いたるところに個人的な趣味全開の置き物があるのもキュンとくるポイントだ。

誰にも遠慮しない、だって自分の店だもの。そんな心意気がたまらない。

アンティークすぎる道具や棚に思わず「これまだ使ってるんですか?!」と

失礼ながら聞いてしまうが現役なのだ。「ステキですね!」と興奮する私に

「古いだけよ〜」とか「そろそろ買い替えないとねぇ」と恥ずかしそうだけど、

使い込まれた店内はすみずみまで丁寧にそうじされていて愛情が感じられる。

 

この間、旅先で出会った理容店はおばあちゃんが一人で切り盛りしていた。

天国に旅立った旦那さんのあとを引き継いでお店を守っているそうで、生前に

おじいちゃんが集めていたというだるまコレクションがガラスケースにずらっと

飾られていた。開店当初から使っているご自慢の大きな黒い電動イスを動かして

くれようとしたものの調子がわるいらしく、スイッチをいれても動かない。

あらあら…とコンセントを引き抜いて分解し、ちゃちゃっと自分で直していて

それはかっこよかった。DIYおばあちゃん、とこっそりつぶやく。

 

さりげなく街にとけこむ理容店、どのお店にもそれぞれの物語がある。

 

 

 

 


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