ポートフォリオレビュー

 

恵比寿の「めぐたま食堂」で行われたポートフォリオレビューに参加してきた。

こちらのお店は5000冊ほどある写真集が自由に閲覧できるので恵比寿に来ると

たびたび訪れている。ポートフォリオレビューでは写真評論家の飯沢耕太郎さん

にブックをみてもらえるというかなり貴重な機会だ。気合が入る。

今回は参加者7名と見学の方が2名、中には関西から来たという方もいた。

私も含めて、わりと年齢層が高めだったので落ちついた雰囲気の中ではじまった。

朝の9時30分からなので久しぶりに学校で授業をうけているみたいで背筋がのびる。

 

1人ずつ順番に作品を広げて飯沢さんから質問を受けたり、アドバイスをもらう。

モノクロやトーンを抑えめにしたどこかミステリアスな作品の方が多かった。

他の人の講評中もタイトルのつけ方や、写真を並べる順番など参考になることを

必死にメモをとりまくった。(勉強になる〜!)と心の中で思う。

ある女性のとき、本人は選ばなかったけどたまたま予備として持ってきていた中に

とてもいい写真があって、これは入れるべきだよ!と飯沢さんが力強く言っていた。

なるほど、自分のセレクト外にいいものがあったりするんだ。

 

私は新しくまとめた家族の写真を持っていった。

長野にある実家を夏と冬に撮影したもので、働く両親の姿や町の風景などを

分厚くてレトロな表紙のアルバムにL版のプリントで100枚ほど貼った。

子供の時に親がつくってくれたような、実家感あふれるアルバムである。

20年ほどちまちまと撮っているので枚数はあるものの、どこまで私生活をいれるか、

見せ方などで迷っていた。ひととおりブックを見終わった飯沢さんからのアドバイスは

「現代美術寄りにしてみたら?」私「!!」自分では思いつかない発想におどろいた。

この素朴な写真を…?と同時に新しいイメージも広がった。や、やってみよう。

 

飯沢さんは「未完成のものにヒントになるようなアドバイスができたら」と

言っていたので作品をつくっている人は気軽な気持ちで参加してみたらいいと思う。

レビューをきっかけに作品の方向性がガラッと変わるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

つまるところ、愛

 

なぜフィルムで撮っているのか?と聞かれることがある。

 

私が写真を撮りはじめた頃はほとんどがフィルムで初めて手にしたカメラは

「写ルンです」だった。中学校の友達を撮っては、いとこのお姉さんが働く

写真店に持っていく。できあがるまでの数日、楽しみでそわそわ待っていた。

ほかの親戚も写真館をしていたり、写真を撮るのが好きなおじさんが多いから

もしかしたらそーゆう家系なのかもしれない。

 

35ミリのネガを手にとって光に透かしてみるとちいさな一コマに大切な

ひとや風景、思い出がちんまりとおさまっていてそれがとっても愛おしい。

デジタルみたいに撮影してすぐに確認できないけれど、現像を待っている

そのゆるやかな時間も自分にとっては必要な気がしている。

 

暗室でプリントするのが好きというのもある。

暗い部屋のなか、たしかこの辺にあったはずと手探りで作業をすすめる。

ピントを合わせて慎重に印画紙をセットしたら、息を整えてからそっと

露光のボタンを押す。それはまるで祈りやおまじないのようだ。

きっと、プリントに撮ったときの気持ちまで焼きこんでいる。

 

フィルムで撮る理由。それはつまるところ、愛なのだと思う。

 

 

 

 

 

 

写真集カフェの店主にきいた5つのこと

 

 

にぎやかな駅前を通りすぎ、神社のよこにある大きな通りを一本入った

しずかな住宅街に溶けこむように「フォトブックカフェ ボーツ」はある。

本棚には国内外問わず集められた約700冊の写真集、メニューを見ると

こだわりの豆で一杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーのほかに店主の出身地、

愛知県のご当地グルメの小倉あんトーストや鉄板ナポリタなんてのもある。

荻窪にオープンしてから、まもなく1周年を迎えるこちらのお店。

なぜ写真集のあるカフェをはじめようと思ったのか?

1979年生まれ、同世代の店主 舟橋さんに気になるあれこれを聞いてみた。

 

Q 写真との出会いは?

 高校生のときに「写ルンです」を学校に持っていき友人などを撮っていた。

 大学で写真部に入り、初めて一眼レフカメラを買った。

 

Q 写真集に興味をもったきっかけは?

 雑誌スタジオボイスの「写真集の現在」という特集でまだ知らない写真集が

 たくさんあることを知り、実際に見てみたくなって図書館に通いはじめた。

 

Q 写真集の魅力は?

 自分にとっては癒しに近い感じ。一瞬でその写真家の世界に行けること。

 

Q 店内の写真集のセレクトの基準は?

 国内海外問わず、新旧かたよらないようにその作家のシリーズの中で自分が

 一番いいと思う写真集を選んでいる。

 

Q お店のおすすめメニュー

 ハンドドリップのスペシャルティコーヒー。

 

店内には座り心地のいいイスがゆったりと並べられ、小さく音楽がかかっている。

飲み物を注文したら、さて今日はどの写真集にしようかと棚を眺める。

ページをめくっていると知らない場所へ旅にでかけているような感覚になる。

おいしいコーヒーを飲みながらゆっくりと写真集と向き合い、楽しんでほしい。

そんな店主の想いが込められているお店だ。

 

 

 

言葉はさんかく、写真はしかく

 

「前世は文章を書く仕事をしてました」「えっ?」

 

一度だけ占いに行ったことがある、前世占いだ。

当たるらしいよとの噂を聞いて、ドキドキしながら向かった。

中央線沿いの薄暗いアパートの1階、お清めのために焚かれたお香の匂いが

する部屋で占い師の女性にまっさきにこう告げられ、ぽかんとしてしまった。

言葉のボキャブラリーが少ないからか、文章を書くのは苦手なはずなのに?

「頼まれた時だけ書いていたみたいですね」気ままに暮らしていたようである。

 

考えていること、感じていることにぴったりくる言葉がみつからない時に

ついありがちな言葉で済ませてしまったりして、ほんとはもっと違うんだけどな…

と心の中でもやもやする。たいていの場合、気持ちのほうに言葉が追いつかない。

 

写真は言葉がなくても見てもらえれば伝わる、ずっとそう思っていた。

しかし、写真を発表するときに短い文章を書くように言われ、ペンを握りしめて

真っ白い紙を前にして何日間か固まってしまった。

なぜ撮ったのか、何を伝えたいのか。うーん、苦手だなぁ。

撮ったのは反射的なものでぐっときたからだし、でもそうも言っていられない。

時間がかかったけどなんとか書き終えてみると、たしかに言葉が添えられたら

写真に対して違ったとらえ方もできるし、理解も深まる気がする。

 

尊敬してやまない写真家の川内倫子さんや長野陽一さんの書く文章も

それぞれお人柄がにじみでていてとってもステキだ。

考えてみたら、たくさんの写真家の人が文章を書いていることに気がついた。

写真と言葉にはなにか深い関係があるのかもしれない。

 

 

 

 

 

カメラとわたし

 

私とNikon FM2の付き合いはもうすぐ20年になろうとしている。

フルマニュアルのカメラが欲しいなと思っていたときアルバイト先の

写真屋さんで基本を学ぶにはFM2がいいらしいと聞き、すぐ買いに行った。

 

同じNikonの f1.4の開放値のレンズをつけてファインダーをのぞいた時の

気持ちよさと、手になじむずっしりとした重さが大好きになった。

歩きなれたいつもの景色もFM2を通して見るとドラマチックに見えて

一緒に出かけると(さぁ、撮影するぞ!)というスイッチがはいる。

 

写真を撮ることは好きだけど、機械そのものにはあまり興味がないらしく

もっといいカメラが欲しいとか、中判が欲しいなどと思うこともなく

専門学校の授業用に買った50ミリレンズをつけていまだに撮影している。

 

何回かコンクリートの地面に落としたり、海で潮風に吹かれたりとハードな

使い方をしているからへこんだり、塗装がはがれたりもしているが

まだまだ撮影に付き合ってほしいと思う。お手入れをしながら

おばあちゃんをいたわるような気持ちで時々さすったりしている。

 

 

 

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