kumquat

 

この冬、空前のきんかんブームが到来した。

きっかけははちみつきんかんのど飴。何がきっかけでハマるかわからない。

もともと柑橘類の皮が大好きでオレンジピール、レモンピール、ゆずピール

なんかをみつけると買っていたけど、きんかんは今までノーマークだった。

近所の家に立派なきんかんの木があって、たわわに実がなっているというのに

収穫している様子がなく、いつもうらめしく見上げながら通りすぎていた。

先日スーパーで宮崎産のきんかんが安くなっているのを発見、初めて買ってみた。

生でひとつかじってみるとあまりのおいしさにびっくり、だってほとんど皮。

果実はほぼなくて、小さな種が4つくらいある。これは皮好きにはたまらない。

 

今回は甘露煮を作ってみようとクックパッドでいちばん簡単そうなレシピを

検索する。材料はきんかん、砂糖、水だけ。うん、これなら私にもできそう。

ところが分量の砂糖の多さにひるんでしまい、勝手に量を減らしたせいなのか

作りはじめてすぐにきんかんがしわしわになってしまった。これ以上煮たら

ただのジャムになってしまう。失敗だ。パティシエあきらめてよかったな…。

そもそも食べたことがないから、なにが正解かよくわからない。

ただしく作るにはまずは正解を知らなくては、と言う理由をつけてずっと

欲しかった太陽色にかがやく榮太樓の金柑の甘露煮を奮発して買った。

 

代官山で逢いましょう

 

上京したてのころ、代官山は憧れの場所だった。

東京を満喫しようと雑誌オリーブにのっていたお店をハシゴした。

ハリウッドランチマーケットをのぞいて(店の横でアヒルが飼われていた)

ヒルサイドパントリーで天然酵母のクロワッサンを買って、めずらしい

輸入食品をみる。ワッフルズビウラはいつも迷ってたどり着けなかった。

パティシエになりたかった時で、コルドンブルーの授業体験も行った。

たしかパリブレストを作ったと思う。シュー生地をドーナツみたいに焼いて

間にプラリネ入りのカスタードクリームを挟んだ。付き添いで一緒に来てくれた

姉を頼りまくっていたっけ。結局、お菓子の道には進まなかったけれど。

 

最近では、もっぱら音楽を聴きに行く場所になった。

よく行くライブハウスが3軒あってそれぞれ雰囲気がちがうからおもしろい。

ライブが終わったら混みあう東横線には乗らず、渋谷まで歩いて帰ろう。

夜の風に吹かれながら、余韻にひたるにはちょうどいい距離。

歩くテンポとさっきまで聴いていた音楽が体のなかで重なる。

 

新年、ある一日

 

1月某日。

10時間以上寝た。爆睡。実家とはいえ帰省はそれなりに疲れるらしい。

家の近くにある神社にも初詣。こぢんまりしてるけどこの地域の氏神さま。

おみくじをひいたら久しぶりの大吉!うれしくて枝に結ばずにお財布にしまう。

「恋愛 自我を抑えよ 縁談 自己主張を慎むこと」とある。うむ…。

 

吉祥寺に行きセールで狙っていたコートを無事にゲット。何度も下見していた

から店員さんに顔を覚えられていた。茶色と黄色で迷ったけど無難な茶色にする。

小ざさのようかんと、さとうのメンチカツを求めて人々は今日も行列している。

 

バスに乗って東伏見駅へ。写真家の尾仲浩二さんに教えてもらった西村カメラさん

に現像をだしに行く。仕上がりを待っている間、お気に入りの喫茶店に行ったら

とても混んでいた。そうか、まだ世間はお正月休みなんだ。

あきらめてファミレスへ。隣の席ではおばあちゃんと孫が2人でご飯を食べていた。

小学校にあがる前くらいの歳の男の子はミニカーで遊ぶのに忙しい。

持ってきた西川美和さんのエッセイを読む。ひとつの話を読み終わると映画1本

みたような気分になる。さすが監督、どの話もおもしろい。しかも男前。

ドリンクバーからカフェラテとカプチーノを交互に持ってきて夢中で読む。

 

3時間後、現像とインデックスが仕上がった。去年の秋からこの年末年始に

撮ったフィルム18本分を抱えてほくほく。家に帰ってからゆっくり見よう。

東京も寒いなぁ。駅前で金髪のギャルが年賀状をポストに投函している。

帰りのバスの車内はつよい西日が射していた。街はまだまだお正月ムード。

 

年末の雑記

 

早いもので2017年もあと2日になった。

今年は10月からちょっとずつ大掃除をはじめてたから、のんびりした年末。

東京はお天気がいい日がつづいて気持ちがいい。ラジオからユニコーンの

「雪が降る町」が流れてる。ね、ん、ま、つだから〜と一緒に口ずさむ。

占いによると天秤座は12年に1度の幸運期だったらしいのだけど、何か

すごくラッキーなことあったかな?はて?とくに心当たりがない。

でも、こうして無事に年末を迎えられているだけで充分かもしれないな。

 

12月になってぼーっと今年食べたおいしかったものベストテンを考えていた。

佐渡の「やち」お母さんのチキンカレー、上田ルヴァンのフレンチトースト、

松本の喫茶ヤマベボッサのかぼちゃと白ねぎのキッシュ。

あれ〜?もっとあるはずなのに意外に思いだせないものだなぁ。

 

なんて思いながら佐渡の姉さんこと、焼菓子ヒガナさんのフェイスブックを

みていたら、今年お世話になった人ベストテンを考えてるー!(勝手に)

反省しました…。私も今から急いで考えよう。たくさんいるはずだよ?

写真展も東京と佐渡で2回させてもらえて、いろいろな方にお世話になった。

ひきつづきの方、はじめましての新しいご縁の方にも感謝です。

 

みなさま、今年もありがとうございました。

よいお年をお迎えください。

湯気のまち 

 

ローカル線とバスを乗りついでたどりつく、山にかこまれた温泉地。

小さなまちに旅館とお土産屋、そば屋や喫茶店がくっついて並んでいる。

あちこちからおまんじゅうを蒸している湯気や温泉の白い湯気が立ちのぼり、

ほそい路地に入ると旅館の厨房からおいしそうな料理の匂いがただよってくる。

私の実家はそこで鮮魚店を営んでいる。高校をでて家業に入った父は四代目。

朝早くからお店で働く両親たちの声、お客さんが石畳を歩くカラコロという

下駄の音で目が覚める。こんな風にして一日がはじまる。

 

昔から両親たちの働いている様子を見るのが好きで、居間についている

小さな窓からこっそりのぞいたり、お店に行っては飽きずに眺めていた。

たいてい「しりとり」なんかして話し相手になってもらっていたけど、たまに

おやつを配ったり、お茶を注いだりすると役に立っているようでうれしかった。

一年でもっとも忙しくなる大みそかは私たち兄弟も手伝って家族みんなで働いた。

 

夕方ようやくすべての仕事を終えて、今年もありがとうございましたとそろって

神棚に手を合わせ、紅白を見ながらいつもよりごちそうが並んだ食卓を囲む。

くたびれているけどほっとひと息、まるで一年の打ち上げみたいな特別な夜。

除夜の鐘が聞こえはじめたら、コートを着込んで坂の上にある神社に初詣へ。

雪の多い年は歩いて行くのが大変だけど、そのあとに立ち寄るお寺で振る舞われる

あたたかい甘酒やとん汁を楽しみに、よっこらしょ…とこたつから抜け出す。

「おめでとうございます」すれ違う近所の人たちと新年のあいさつを交わし、

きりっと冷たい空気にまた新しい一年がはじまると身がひきしまる。

わが家の大みそかはいつもだいたいこんな感じだ。

 

親の働いている姿を見られることはとても貴重なことだなぁと思う。

お店は今も続いているけれど「いつまで営業するかはわからない」と父は言って

いて、閉店するかもしれないその日を想像しただけでしんみりとさみしくなる。

子供の頃から生活のなかに当たり前にあった愛おしい光景を少しでも残して

おきたくて夏と冬、帰省するたびに撮影している。

 

 

 

 

喫茶店、ラブ

 

わが家では3時になると母のお手製のおやつがよく登場した。

健康志向の母が忙しい仕事の合間にせっせと作ってくれたおやつの定番は

蒸しパンやヨーグルトのババロア、おやきといったヘルシーなもの。

どれもおいしくて、遊びにきていた友達にもとても好評だった。

しかし、たまにはよそいき顔のはなやかなおやつが恋しくなる。

 

親戚のおばさんに連れられて、近所の喫茶店にいくのが楽しみだった。

茶色くほの暗い店内のカウンターに座り、生クリームがちょこんとのった

コーヒーゼリーに添えられてきたガムシロップを慎重にかける。

大人たちの会話をそれとなく聞きつつ、小さなスプーンでひと口ずつ大切に味わった。

母が留守のときは、父が「内緒だぞ」と喫茶店のようなスナックのような不思議な

お店からチョコレートパフェの出前をとってくれた。

歩いても1分かからないくらいの距離なのに、なぜか出前だった。

細長いグラスにコーンフレーク、その上にバナナやアイスがこんもり盛り付けられて、

チョコレートシロップがかけられたうるわしい姿のパフェが届くとうっとり眺めた。

畳のうえのパフェ、それはもう夢のような出来事。うれしかったなぁ。

子供の私にとって喫茶店とは、日常にぱっとあらわれる特別な空間だったのだ。

 

旅先や散歩の途中、気になる喫茶店があるとふらりと立ち寄るようになった。

そのお店ごとにちがう雰囲気やメニューを見るといまだにワクワクする。

好きなとき、自由に喫茶店に行ける。あぁ大人って素晴らしい…。

 

 

月見るきみ想う

 

浅草にある「だっちゃ」に行ってきた。

佐渡の両津出身のお姉さんがちゃきちゃき切り盛りするお店。

春にしては暑かったこの日、カウンターに座りまずはノンアルコールビールでも

とメニューを探してものっていない。それもそのはず、店主は利き酒師で

佐渡の6つの蔵元から直送される地酒がつねに60銘柄以上そろっているのだ。

ノンアルコールなんて甘えたことを言ってる場合じゃなかったと反省。

 

海の幸やお肉など目移りしつつも、気になったのは卵かけごはん。

放し飼いのにわとりが産んだ卵、お米、そこにかけるお醤油まですべて佐渡産。

シンプル イズ ベストである。ほかにイカながもや「へんじんもっこ」のサラミ

など島ではおなじみの料理で、つかの間の旅気分を味わった。

 

せっかくだからと近くにある浅草寺にも立ち寄ることにした。

仲見世のお店はとっくに閉まっている時間、シャッターに描かれた三社祭の絵が

電球でほんのりと照らされていた。観光してる人もちらほらいる。

上京したてだろうか、初々しいスーツ姿のグループが楽しそうに歩いていた。

にぎやかな昼間とは違うしっとりした雰囲気の浅草寺、夜に来るのもいいな。

 

屋根のむこうにはライトアップされたスカイツリーもよく見える。

さっきまで佐渡気分を味わっていたけど、やっぱりここは東京なんだ。

見上げた夜空には黄身のような満月が浮かんでいた。

 

 

桜よ、今年もありがとう

 

今年もお花見ができてホッとした。

ちょうど満開の予報のあたりで旅に出かけていたから、帰ったら見ごろが

終わってしまうのでは、とハラハラしていたのだ。

 

川を挟んで両側に咲いている桜を歩きながら見る、ささやかなお花見。

昔は桜の名所に行ったりもしたけれど、ここ何年かはずっとここだ。

川にはカモやコイが泳ぎ、白サギがじーっと魚を狙っている。

持参したお茶を飲みつつ、気がつくと何駅分か歩いている。

人もさほど多くないのでゆっくりと見れるお気に入りの場所。

 

桜を見ている人たちを見るのも好きだ。

朝の通勤時間、急いでいる足を止めて見上げたり写真を撮ったりしている。

なぜかちょっと切なく、また今年も桜を見れたことに感謝する。

1年の中でも桜の季節は特別だと思う。

 

 

同じ名前の神社

 

暇さえあれば部屋で電車の路線図を広げて、今度はどこへ行こうかなぁとか

この駅おもしろそうなどと考えています。

「押上」という駅名にひかれて、周辺を調べてみたら同じ名前の神社が

あることがわかり(これはぜひ行かねば!)とはじめて訪れて以来

とても気に入って、たびたび行くようになった高木神社。

 

先日、少し遅くなってしまったけど新年のごあいさつに行ってきました。

押上駅から昔ながらの建物とスカイツリーを眺めつつ歩くこと7分ほど。

細い路地を入るとこぢんまりとした神社が。

同じ名前ゆえ親近感がわいて「ただいま!」と、つい言いたくなる。

境内に入るとホッとするのです…不思議。

 

「人と人の縁をむすぶ」「仕事の交渉、相談事の縁をむすぶ」などむすびの

御神徳があるそうで、御朱印やスタンプはおむすびのモチーフ。

色紙に押してもらい、大切にカバンにしまう。お財布の御守りも購入。

 

さて、次はどこに行こう?

近くに長野県出身のご夫婦がやっている純喫茶がある。

内装がステキで、生ジュースとパンがおいしいお店もいいな。

そうだ、そのあとは隅田川を渡って浅草に出よう。

 

そんなことを考えつつ、うきうきと神社をあとにするのでした。

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