アジフライ

 

佐渡でおぼえた楽しみのひとつに「釣り」がある。

長野県で山に囲まれて育った私はそれまで釣りをしたことがなかった。

生まれて初めての釣り、しかもあこがれの海での釣りデビューだ!

 

隊長(友達のお父さん)のあとについてバケツや竿を持って近くの防波堤へ。

日本海らしい濃い紺色に広がるこの波の下にいろんな海の生き物がいて、

自分の知らないお魚たちの世界が存在しているのか…と想像しただけで

わくわくする。

 

釣りといえば、静かに糸をたらして大自然と対峙しながらぼーっと物思いに

ふけったりしつつ魚がかかるのをひたすら待つ。そんなイメージだったけど、

実際は投げるとすぐに海の中の何者かにひっぱられて(漂流物のときもある)

あたふたしながら、急いで指示どうりにリールを巻きあげる。

 

すると、銀色に光るピチピチした小ぶりなアジが2〜3匹くっついている。

隊長に報告して針から魚を外してもらい、再びエサをつけてもらったら

また勢いよく海にむかって投げる。至れり尽くせりで、もはや釣りしてる

といえるのかは疑問だけど、自分的にはこのアクティビティに大満足。

 

その日の晩ご飯には、とれたてのアジがフライになって食卓に登場する。

魚が苦手だったけど、こんなにおいしいものだったなんて!と感激した。

隊長いわく、イカ釣りがこれまたおもしろいらしい。蛍光色のカラフルな

疑似餌をみせてもらったり、釣りの話をきくのも楽しい。

もっとぐいぐいくる大きな魚も釣ってみたい。釣り初心者の夢は広がる。

 

 

 

 

ハンコとコーヒー

 

わが家のポストにハンコ作家のヒルトネンさんから完成品が届いた!

ヒルトネンさんのハンコと出会ったのは新潟にあるホシノコーヒーさん。

(ホシノコーヒーさんのすばらしさは書ききれないのでまたの機会に)

何気なくカウンターに置いてあった作品集をめくったとたん、ひとめ惚れ。

どれも脱力してしまうような、ぷっと笑えるかわいさで大ファンになった。

お店で買ったカードはもったいなくて使えず、今も大切に手元にある。

 

その年に佐渡で開催されたハローブックスという本のイベントに出店した。

会場は山の中、雨が降ったりやんだりのお天気でまだ9月というのに肌寒い。

コーヒーをすすりつつテントでぼんやり店番していると、目の前にスッと

きれいな女子があらわれた。(なんで私の店に?!)はげしく動揺する。

しかも、手には「佐渡 しなしな 歩き」をお持ちではないですか!

お話しをきいたらこの写真集で佐渡に興味をもって、ご家族で来たのだそう。

イベントに私が出店してるのをたまたま見つけて、立ち寄ってくれたのだ。

自分の写真が佐渡を訪れるきっかけのひとつになれたことがとてもうれしかった。

そして、その方こそがあのヒルトネンさんだった!というサプライズに

寒さを忘れるほど舞い上がってしまった。人生 ときどき ミラクル おきる。

 

ふしぎなご縁がつながって、やっとお名前ハンコをお願いすることができた。

こんなイラストをいれてください、とざっくり伝えただけなのに出来上がりは

期待以上のかわいさで、眺めているとにやにやが止まらない。

これからも作ってもらったこのハンコに恥ずかしくないように写真に

精進してまいります、とあらためて思ったのでした。

 

ヒルトネンさんのハンコはこちらからどうぞ。

https://www.instagram.com/hanko_hiltunen/

 

佐渡の姉さん

 

佐渡の南のはしっこ、小木にあるヒガナさんとの出会いは1年前の初夏。

新潟市の本屋さんで佐渡の写真展をすることになり、何か島の物を一緒に

販売できたらと探していたとき。インターネットでお店のことを知って

焼菓子が大好きな私は、はりきって小木を訪れたのだった。

 

お店は港のすぐそばに立つ白い一軒家。

中に入るとアンティークのガラス棚にクッキーやマフィンが並んでいる。

栄養士で、マクロビオティックの勉強をした店主 長谷川さんのつくるお菓子は

卵やバターを使っていない。季節ごとに佐渡でとれた果物などが入ったりする。

派手なルックスではないけれど、かみしめるほどにしみじみとおいしい。

目をつむって味わいたくなるスルメのようなクッキー、そんな印象だ。

 

写真展がはじまるとヒガナさんのクッキーはあっというまに完売してしまい、

追加してもらうほど大人気だった。それ以来、困ったことがあると相談に

のってくれるかっこいい長谷川さんのことを、佐渡の姉さんと呼んでいる。

 

この夏も、小木で開催されたお祭りに合わせてヒガナさんに行ってきた。

開店すると店内は人であふれ、クッキーやマフィンがすごい勢いで売れていく。

観光客の人が帰りお店にゆったりした空気が流れはじめたころ、近所の人たちが

ぱらぱらとお茶を飲みにやって来た。さざえや、いももちなど差し入れも一緒に届く。

「今日は何にする?」常連さんとそんな気軽なやりとりが交わされるのを

うらやましく聞いていた。お祭りの期間中はたくさん人が来てにぎやかだけど、

いつもはこんな感じなんだろうなぁ、とのんびりした島の日々を想った。

カフェであり、店主との会話を楽しんだり、情報を交換する大切な場所。

 

今日もきっと長谷川さんは島のはしっこでクッキーを焼いている。

 

 

 

 

 

 

海辺の缶ビール

 

佐渡の岩首に興味を持ったきっかけはパンフレットでみた棚田だった。

岩に首?なんだかこわそうな名前だけど、一度行って実際に見てみたい。

 

両津からバスで海沿いを走ること1時間。

集落の入口に食料品や雑貨を売るお店が2軒、小さな郵便局と階段の上にある神社、

廃校になった小学校を利用した談義所。ぱっと見たところ、あるのはそのくらいだ。

「何しにここに来たの?」と、一緒にバスを降りたおじいさんに聞かれた。

棚田を見るためにと伝えると、歩くのは大変だから車で案内してくれると言う。

農具のつまれた軽トラの荷台に乗り込み、ガタゴトと細くて急な山道をのぼる。

そうして、たどり着いた棚田は言葉にならないくらいきれいだった。

 

真夏の昼間、外を歩いている人はほとんどいない。

聞こえるのは波の音とトンビの鳴き声と、セミの大合唱だけ。

ちょっと休憩したくても食堂や喫茶店はない、あるのは圧倒的な山と海。

なんていうか、島の持っている本来の力強さをみせつけられている感じなのだ。

海辺を散歩していたらさっきのおじいさんがやってきて、手に持っていた

缶ビールを「ほれ」と1本くれた。じりじりとした陽射しから身を守るように

日陰をみつけて座り、冷えたビールを飲みながら東京で働いていたことや

、故郷の佐渡に戻ってきた理由、岩首のことなどポツポツと話してくれた。

飲み終わると「さぁ、今日の夕飯のおかずをとりに船をだすか」と帰っていった。

昔話みたい、とすっかり酔いがまわった私はおじいさんのうしろ姿を見送った。

 

完全に岩首にハマってしまった。何もないところがいい。

佐渡に行ったら、たびたび訪れる大好きな場所のひとつになった。

行く時には必ずおにぎりやパンを持っていくのを忘れずに。

 

 

 

しんこまんじゅう

 

バレンタインが終わると、ひな祭りに向けてまちは淡いピンク色に染まる。

実家を離れてからマイひな人形と会うこともなくなり、少しでもひな祭り気分を

味わいたいとスーパーで山積みされていた「すし太郎」を何年かぶりに購入。

付属の刻みのりにごまがプラスされていて感動した。

 

そんなひな祭り当日、家に帰るとポストには不在届けが。差出人は佐渡に住む友人。

佐渡、ひな祭り…とくればこれは「しんこまんじゅう」に違いない!

夜8時過ぎ、荷物を受け取っていそいそと箱をあけるとそこには

色とりどりのかわいらしいまんじゅうがぎっしりとおさまっていた。

 

しんこまんじゅうとは木型に桃、緑、黄などの色をつけた団子生地をつめて

型抜きして蒸したもの。佐渡のひな祭りにはかかせないお菓子だそうでそれぞれの

家庭で手作りしたり、お店でパックにはいって売られているのもよく見かけた。

中にあんが入っているものもあるようだけど、友人作のはあんなしタイプ。

最初はカラフルなルックスに少々おどろくが、電子レンジであたためると

もちもちでほんのり甘く、下に敷かれた椿の葉の香りがしてとてもおいしい。

 

いくつになってもひな祭りは心が躍るもの。

思いがけないうれしい贈りもので、ますます春が待ち遠しくなった。

 

 

 

初めての冬の佐渡(後編)

 

今回の旅の最大の目的は「大崎そばの会」

郷土料理をいただきながら地元の方のとっておきの芸を見るという内容。

ずっと前から行ってみたかったので、意を決して冬の佐渡に乗りこんだというわけです。

 

今年で40周年を迎える大人気のイベント。

この日も島外からの参加はほぼ私たちのみで、ほとんどが島内の方でした。

はじまる前のロビーは熱気むんむん。

ストーブの前で暖をとりながら、待ちきれず(?)佐渡おけさをおどりはじめるご婦人も。

 

会場に入るとテーブルには大崎産のお米でつくったおにぎり、煮しめ、お漬物、

天ぷらなどところせましとごちそうが。そうそう、甘酒もありました。

そしてメインのおそばは食べ放題!

気合がはいります。各自、持ち込んだお酒とともに宴がはじまりました。

 

ひととおり食べ終えたころ舞台の幕があき、伝統芸能が披露されました。

「文弥人形」では人形の動きに見惚れたり、思わぬ話の展開に唖然としたり。

トリはお母さんたちによる名物「相撲甚句」

インパクトがすごい…こちらはぜひ会場で見てもらいたいです。

お母さんたちがキュートで、すっかりファンに。

 

最後は地元の方と一緒におひねりをなげたりと、3時間たっぷり楽しみました。

冬の荒波を越えて行く価値ありの、盛りだくさんの大崎そばの会でした〜。

 

 

初めての冬の佐渡 (前編)

 

2001年から夏になると友人を訪ねて通っている新潟県の佐渡島。

2月、とあるイベントに参加するため初めて冬の佐渡に行ってきました。

 

日本海の荒波で揺れる船、イスにしがみつくこと2時間半、真っ白に雪化粧した

島が見えてきました。

夏の人懐っこい姿とはちがい、凛として気高くすらありました。

思わず「か、かっこいい…」とつぶやく私。

よく知っている友達の違う一面をみたような、そんな気分。

来てよかった!上陸前だというのにすでに胸がいっぱいです。

 

港に到着し、雪の残る両津の町をカメラ片手に散歩。

歩きづらい雪道、長野県民としては転ぶわけにはいきません。

商店街には書店や菓子店などいろいろなお店があり、何度来ても楽しい。

たまたま入ったお店で佐渡弁を教えてもらいました。

「だちかん」=「だめだ」という意味だそう。

 

夢中で歩き、すっかり冷えきったところで港の前の喫茶店へ。

本棚にはマンガ、花柄のソファー、昭和のかおり。うん、タイプです。

お昼もすぎた3時だというのに、地元の人達でにぎやかでした。

暖かい店内でソファーに腰かけ、本棚からマンガをえらび読みふける。

人々のおしゃべりに耳をかたむけたり、窓から港を眺めたり。

 

冬の佐渡はこんな楽しみ方もいいものだなぁ。

 

 

 

 

 

 

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