築地ブギウギ

 

海外にでも来たのかと思うほど、築地はいろんな国籍の人であふれていた。

海鮮丼や玉子焼きに行列し、元気に朝ラーメンする人たち。呼びこみをする

店員さんも必死だ。もはやテーマパークのようなにぎやかさの場外を人を

かき分けてずんずん進む。今日の目的は築地市場の場内にある。

 

場内にはいると小さな荷台のついた一人用の黄色の乗り物が走り回っていた。

これ、ターレーというそうで観光客がいてもおかまいなし、けっこうなスピード

をだして荷物を運んでいる。それがものすごくかっこいい。あ、女の人もいる!

沼田学さんの「築地魚河岸ブルース」という写真集はひたすらターレーに乗った

人のポートレートで、いかついおじさんや、お兄さんたちが渋すぎる。

私の師匠のカメラマンМさんも、築地で働く人を作品として白黒で撮影していた。

これはたしかに撮りたくなると、撮影に夢中になっているとひかれそうになる。

本気の市場、活気があってこれぞ築地という感じ、みなさんいい顔をしている。

魚をさばいてるおじさんのまわりには、エサを求めてカモメが群がっていた。

 

そして目的の珈琲の店「愛養」へ。

クウネルで見てからずっと行ってみたかったあこがれのお店の前に立ち

(ほんとにあったんだ…)と感動してしまった。名物のトーストを注文したら

「今日は予想以上にお客さんがきて、パンがなくなったから買いに行ってるの、

お待たせしてごめんなさいね〜」とお姉さん。「ぜんぜん急ぎません」

ゆっくりできてむしろうれしい。混雑していた店内もいくぶん空いてきた。

置いてある新聞を読んだり、ラジオから流れる人生相談をききながら待っていると

店長の鈴木さんが食パンを抱えて戻ってきた。この道50年の華麗な手さばきで

次々に焼き上がりお客さんのもとに運ばれるトースト、コーヒーはコーヒーアン

という保温器からアツアツが注がれる。カウンターから眺める、しあわせな時間。

 

食べ終わるとサービスの緑茶と、ご自由にどうぞとチョコレートがでてきた。

築地で働く人だけじゃなく、いちげんさんの観光客もやさしく受け入れてくれる

懐の深さ。長い間あこがれ続けたお店は、大好きなお店になった。